FRBのQE3縮小策次第で、新興市場に大波乱も 反動招きやすい日米の金融政策、市場との対話も難しく

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縮小

先日ロンドンに滞在した際、現地のマスメディアのカーニーにかける期待はかなり大きいことが感じられた。しかし、キングが言うように、画期的な追加緩和策は残されていない。日銀やFRBが採用してきたような金利ガイダンス(時間軸政策)を導入したり、量的緩和策の拡大を彼が提案したりする可能性はある。

英国のカーニー次期総裁も難しい立場

とはいえ、2009年から英国で導入されてきた量的緩和策の成長への寄与は限られてきた。インフレ率は目標よりも高めで推移する状態が常態化し、ミニ・スタグフレーションに近くなっている。「カーニーはスーパーマンではなく、クラーク・ケントであることが明らかになる」とのコラムも見られる(テレグラフ)。

日本人としては、カーニー初登板となる7月の金融政策委員会は興味深い。日銀総裁が白川氏から黒田氏に変わったときは、政策委員会の投票判断は一斉に転じ、全員賛成で黒田氏の異次元緩和策が支持された。

英国では、キング総裁は2月から量的緩和策の小幅増額を主張してきたものの、6月まで5か月連続で反対多数に合い、否決されてきた。反対派の委員は、インフレ率の上昇を警戒している。経済情勢が急変しない限り、総裁が変わったからといって彼ら全員が突然賛成派に回る可能性は低いだろう。自由闊達な議論が可能な英国と、そうでない日本のコントラストが現れそうである。

FRBのQE3における大規模資産購入はオープンエンド式だが、その終わり方の難しさにFRBは直面している。バーナンキらFRB幹部は、QE3の縮小開始に関する発言に細心の注意を払っている。彼らは今後の資産購入減額の表現に「taper」(次第に減らして行く)「tapering」という言葉を使うことを極力避けている。一度減額を始めたら自動的にゼロまで減額されるというイメージを排除したいからである。

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