FRBのQE3縮小策次第で、新興市場に大波乱も 反動招きやすい日米の金融政策、市場との対話も難しく
減額を始めても、さらなる労働市場の改善をFOMC(米国連邦公開市場委員会)ごとに確認しなければ次の減額は行わないつもりらしい(そういった方法であれば、来年1月末にFRB議長が交代しても、次期議長の判断を拘束することにならない)。資産買入が終了するまでには、度重なる判断が必要であり、時間がかかるというニュアンスを伝えることで、「QE3縮小開始=出口政策開始」ではない(ゼロ金利解除はすぐではない)とバーナンキは伝えたがっている。
FRBはQE3の縮小を早めに開始し、終了に時間かける
バーナンキ自身は、QE3縮小開始を本当は急ぎたくはないだろう。しかし、今年2月に引き続き、5月22日の議会証言の際も、バーナンキは共和党系の議員から「バブルは大丈夫か」「出口政策は考えているのか」と詰め寄られていた。
政治的な対応という意味でも、バーナンキとしてはやや早めに減額を開始して、終了までにはじっくり時間をかける、というやり方を選択するだろう。資産買入減額の開始時期は早ければ9月だが、市場の混乱などを見極めようとする場合は12月まで伸びる可能性も十分ある。
本来、QE3縮小開始は「アクセル・ペダル」を踏む力を緩め始めることであって、「ブレーキ・ペダル」を踏むことではない。また、金融政策の効果には、中央銀行がアクションをとることで生じる「フローの効果」に加え、これまでの政策の累積から生じる「ストックの効果」もある。
しかし、現在の市場は「フローの効果」が消えることを非常に警戒している。FRBとしては「アクセル・ペダル」を踏む力を慎重に緩めようとするだけであっても、市場との対話に失敗すれば、意図せざる強い「エンジンブレーキ」がかかってしまう。その場合、1997~98年のアジア通貨危機のような混乱がエマージングのどこかで起きる恐れもあるため、FRBの今後の情報発信には注意が必要である。
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