プーチン大統領が自ら指導する極東経済特区 最前線で関わるJBIC前田副総裁に聞く

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「質の高いインフラづくりへ、出資機能を期待されている」と前田氏(撮影:尾形文繁)

北方領土は期待しすぎずに。ハードルが高い

――北方領土問題の解決に向け、日本国内の期待は高まっているように感じますが、ロシア国内世論とのギャップもあるようです。12月の首脳会談で何らかの進展はあるのでしょうか。

正直言ってわからない。わからないが、事前に盛り上がって、期待度が高まりすぎるのはよくない。劇的に4島が返還されるとか、それはかなり難しいだろう。

安倍首相が言っているように、私は私の立場、日本のこれまでの立場を主張する。ウラジミール(プーチン大統領)はウラジミールの立場。どっちも正当だ。これだけを繰り返すだけだと、何年経っても解決しないので、自分たちの世代で脱却しようと呼びかけた。だから期待値を上げないほうがよいと思うのだが、なぜあんなに期待値をあげるのか、私には理解できない。管理、アドミニストレーションというのなら別だが、統治とか主権(の解決)ということになると、ものすごくハードルが高い。

――12月の山口県下関での会合に向けて、どんな展望を持っていますか。

われわれはもちろん、12月を視野に入れている。ただ、できることと、できないことがある。これまでとはちょっと違う、とくに質の高いインフラ(整備)において、より多くのリスクをとり、出資機能を拡大することをわれわれは期待されていると思う。

出資は融資と異なり、1回きりでなく、ずっと付き合うということ。エネルギー安全保障を考えるうえで、本当にちゃんと供給してくれるのか、不安を持っている人は多い。(出資によって)供給側に入り、安全保障上の懸念を抑えることはできるのではないかと思う。

山田 徹也 東洋経済 記者

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やまだ てつや / Tetsuya Yamada

島根県出身。毎日新聞社長野支局を経て、東洋経済新報社入社。『金融ビジネス』『週刊東洋経済』各編集部などを経て、2019年1月から東洋経済オンライン編集部に所属。趣味はテニスとスキー、ミステリー、韓国映画、将棋。

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