プーチン大統領が自ら指導する極東経済特区 最前線で関わるJBIC前田副総裁に聞く
――今現在、ロシアとの関係を深める意義について、改めてではありますが、どのようにお考えでしょうか。
ウラジオストックで(9月に)開かれた東方経済フォーラムで安倍晋三首相も発言していたが、要するにロシアは広大なユーラシアという後背地を抱える一方、日本には自由で開かれた、法の支配に基づくアジア太平洋ががある。プーチン大統領は極東ロシアをそこへのゲートウェイにしたいという意識がある。極東の開発に非常に力を入れているという印象を私は持っている。
ロシア極東地域は、人口は20年間連続で減少し、まだ下げ止まっていない。20年間で人口は20%減っている。(同じアジアの大国である)中国との関係は、欧米からサンクション(制裁)を受けている中で、都合のよいパートナー(という位置づけ)だ。しかし、中国は同盟国ではなく、向こう(中国)のほうが圧倒的に人口も経済規模も大きいので、脅威に感じているところがある。(日本に接近することで、中国との)バランスをとりたいという意識をプーチン大統領は持っている。
プーチン大統領が直接、改革を指示
――ウラジオストックの会議では、どんな議論が交わされたのですか。
大きな会議だけでなく、プーチン大統領と極東関係の主要閣僚が集まり、非常に少人数の会議もあり、私も出席した。極東(ロシア)には12の経済特区があるが、進出している企業はほぼロシア企業だけ。つまり、外国(企業)からの直接投資がない。これらは中国の深センなどの経済特区をコピーしたものなのだが、どうして進出企業が少ないかというと、たとえば法律はあるが、運用が恣意的だとか、(手続きに)時間がかかって分かりにくい、不透明だとかの問題点がある。ロシア企業からもそういう声が出ていて、それに対してプーチン大統領がああしろ、こうしろと個別に指示している。これが大きい。
JBICはインドやミャンマーの経済特区で特別目的会社をつくり、個別の投資、運営やアドバイザリーを務めてきた経験がある。これらと同じように、(極東ロシアの)12の経済特区を対象に、当行とロシア極東発展省の「極東発展基金」が共同出資で特別目的会社をつくり、ワンストップの機関をつくってはどうかと提案した。プーチン大統領にはこれを大変高く評価していただいている。
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