この提言では、定年は廃止すべきと書かれています。65歳以上を高齢者とする考え方を見直し、生涯現役と考えてのことなのでしょう。また、定年廃止が提言されたのは生涯働きたいという高齢者の要望に応えたいという側面があるようです。
厚生労働省の調査によると、過去1年の定年到達者約43.5万人のうち、継続雇用を希望した人は全体の75.4%、継続雇用を希望しない人が24.6%となっており、4 人のうち3人が引き続き働きたいという意向を示しています。こうした、調査結果を踏まえれば定年廃止の提言はもっともかもしれません。
65歳が働く年限の目安
ただ、これから65歳を迎える世代は、生涯働きたいと考えているのか? 厚生労働省の高齢期における社会保障に関する意識等調査結果によると、「何歳まで働きたいか」について、「65歳まで」とする人が27.3%と最も高く、次いで「60歳まで」が19.6%、「70歳まで」が17.6%となりました。「生涯働き続けたい」とする人は7.7%。生涯現役!というよりは65歳が働く年限の目安になっています。
ただ、年齢が上がると「もう少し働こう」と目安が徐々に後ろ倒しになります。29歳以下では60歳まで、50代で65歳までが、60代になると70歳までが最も高くなります。おそらく「70歳」が働きたい目安なのかもしれません。また、体力的に70歳までは働ける自信が出てくるのでしょう。
取材していても70歳前後で週5日のフルタイム勤務している方々の大半は「問題はない」と回答してくれました。ただ、70歳から80歳まで働けるか?と訊ねると??な回答が増えてきます。働きたいけれどもフルタイムは厳しいと感じるのが、このあたりの年齢のように感じます。おそらく、生涯現役を自身も国も目指すなら
70歳までフルタイム、それ以降は可能な限り働ける環境づくり
が望ましいのではないでしょうか。
では、60歳から70歳までの10年をフルタイムで働くとして、どのような仕事で働くか?一番の前提は既存の会社で継続雇用されて働くパターン。改正高年齢者雇用安定法の施行以降、7割の企業が継続雇用制度を導入しています。
これまでの経験を生かして「安定した収入」を得て「健やかな生活」が確保したいのであれば賢明な選択と言えます。ただ、なかには「残りの人生で別の経験をしてみたい」とキャリアチェンジをしたいと考える人もいます。雇用延長よりもリスクのある選択です。この選択をする人は意外にも手堅い業界で長く勤務していた人が多いようです。別の人生を歩んでみたい衝動をおさえてきたのかもしれません。
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