意外なほどもろい、中国の金融システム

習近平体制は本当に銀行改革ができるのか

一方で、これまで銀行の独り勝ちだった中国の金融業界に、大きな変化が起きる可能性がある。何よりも期待されるのが、株式市場にもたらすインパクト。投資家はこれまでほとんどリスクがない状況で、高利回り商品に投資することができた。株式市場はよぽどの大相場でも来ないかぎり、一般の投資家は投資対象として考慮する必要すらなかったわけだ。しかし、金利の自由化を通じて「信託」や「理財商品」の期待利回りが下がるようなことになれば、投資資金がおのずと株式市場に流れやすくなる。投資家の株式市場に対する期待感が高まるわけだ。大手証券である中信證券(6030 HK)や海通証券(6837 HK)、5月22日に上場した銀河証券(6881 HK)への評価が、これからしだいに高まると考えられる。

同様に、銀行の地位が相対的に低下すれば、保険業の地位が逆に高まることになる。保険業も貯蓄型商品を販売してきたが、「信託」や「理財商品」に押されまくって、売れ行きは低迷していた。しかし、「信託」や「理財商品」の期待利回りが低下すれば、貯蓄型保険商品の販売改善が見込まれる。また、保険会社も株式市場で大量の資金を運用している以上、業績面では株式市場との連動性が高い。香港に上場する保険会社には生保最大手の中国人寿(2628 HK)や、生保・損保の双方に強い平安保険(2318 HK)、損保最大手の中国財産保険(2328 HK)などがある。

なお、信託についてはこれまでほどの成長が見込めないと思われるが、それでも業界全体としては、将来、数年にわたり年率20~30%程度の高い成長が期待できると考えている。厳しい担保審査の目利きが効くことや、超富裕層の顧客ネットワークを確保しているなど、他業種から参入するにはハードルが高すぎるのだ。ただ、投資先となると実は非常に限られる。

中国全土に信託は68社あるが、本土市場でそのまま上場しているのは2社だけで、親会社(大株主)が上場している2社を合わせても4社だけにとどまる。あまり知られていないが、香港市場ではそのうちの大株主が上場しているものがある。経緯紡績(350 HK)がそれで、信託業界6~7位の中融信託の株式36%を保有している。海外個人投資家が中国の信託業界に直接投資する唯一の銘柄として、あらためて市場で評価される局面がありうると考えられる。

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