「家庭に浸り過ぎない」男性はやはり魅力的だ 結婚しようがしまいが、どちらも楽しい

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今どき珍しいお節介ぶりである。筆者も3年ほど前から意識的に「お見合いおじさん」を実践しており、月1ペースで妙齢の男女を引き合わせている。しかし、9割は徒労に終わる。感謝されるどころか、「どうしてこんな人が私とお似合いだと思ったの?」といった非難の視線を感じることすらある。

この場を借りて主張しておきたい。せっかくお見合いをした相手なのだから、せめて1回ぐらいはデートしてみてほしい。生理的に嫌でなければ、大人の関係に進んでほしい。そのうえで結婚するか否かをお互いに判断すればいいと思う。結果として、傷ついたり傷つけられたりするかもしれない。でも、一歩どころか半歩も踏み込む気持ちがなければ、赤の他人と家族になることは難しいと思う。

康孝さんの話に戻る。3年ぶりに会った亜由美さんは、「会いたい」と連絡をした理由を正直に明かしてくれた。

コンビニアイスで喜んでくれる彼女

亜由美さんは小売店の販売員として働いており、20代のうちから結婚願望もあった。合コンにも参加していたが、控えめな性格のせいもあって良き男性との縁には恵まれなかった。一方で、職場では店長になることを打診される。亜由美さんが勤務する小売りチェーンでは店長の責任は重く、長時間労働が基本である。結婚がますます遠くなることを予感した亜由美さんはある決意をする。思い切って自分の殻を破ってみよう――。

「今までの合コンなどで出会った男性で、『ちょっと良かったな』と記憶している人に自分から改めて声をかけてみることにしたそうです。僕はそのうちの1人に過ぎません(笑)」

康孝さんと亜由美さんは旅行好きなどの共通点もあって意気投合。何を御馳走しても楽しんでくれる亜由美さんに康孝さんは心惹かれた。

「大人になるとカッコつけて評論家ぶりたくなりますよね。でも、妻はコンビニのアイスでも『すごくおいしいね!』と笑顔になるんです。その反応が見たくて、結婚した今でも仕事帰りにお土産を持って帰ります。今思えば、妻と付き合おうと思ったきっかけはあの笑顔です」

ただし、康孝さんは交際開始から半年を過ぎてもプロポーズする気配すら見せなかった。なぜなのか。

「妙齢の女性と付き合っているという自覚はありましたし、もし結婚するならこの人だろうとは思っていたんです。でも、すでにフリーランスになっていたこともあって、家族を養う自信がありませんでした。今は稼いでいても、10年後も仕事がある保証は皆無ですからね。ちょうど仕事が忙しかったので、結婚式やら引越やらにパワーを割きたくないという気持ちもありました」

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