JALとANA、羽田国際線で分かれた「明暗」 「ドル箱」のニューヨーク線が示す両社の格差

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影響が大きかったのが国際線だ。期初計画の水準が高かったというのもあるが、「日本発の業務(ビジネス)渡航の需要が芳しくなかった」(斉藤氏)。出張に利用する企業の中には経費削減のためクラスを落とすところも出てきているという。

「むやみな拡大路線を取らない」ということを強調したJALの植木社長(記者撮影)

「(首都圏の発着枠において、ビジネス客の多い)羽田よりも成田が多くなっているのは現実としてある。その影響がゼロだとは言わない」。こう話したのは植木義晴社長だ。

JALが経営破綻を経て再上場する直前の2012年8月。公的資金を投入したことが業界の競争環境をゆがめるとして、国土交通省がJALに対し新規路線の開設や投資を制限する文書を出した。通称「8.10ペーパー」だ。

新たに国際線のために開かれた羽田の発着枠は、このペーパーに基づいてANAに傾斜配分された。路線数の格差はここから来ている。

今回ANAが運航を始めた羽田―ニューヨーク線は、JALとしても垂涎のドル箱路線であり、当然開設を検討していた。だが8.10ペーパーの存在が阻んだのである。このペーパーが効力を失うのは2017年3月末。JALは同路線について来春の就航を目指している。

”足かせ”が外れた後、JALはどうするのか

JALの2016年度の業績は、第1四半期が終わった時点ですでに想定を下回っていた。需要の高い路線で臨時便を増やしたり、機材を大型化するなどの方針を掲げていたが、その策も力及ばず、今回の下方修正に至ったといえる。

この下期(10月~来年3月)も同様の需要喚起策を実施するというが、効果は未知数だ。新規路線がなければ、収益の積み増しは限られる。路線網を広げれば、リスク分散にもなる。

「むやみに拡大路線を取らない」という方針は植木社長が従前から強調している。代わりに各クラスの座席の改良やサービスの改善などに励み「量」より「質」を追う。それはペーパーの”足かせ”が取れる来春以降も「変わりはない」と話す。ただ破綻の反省があるにしても、成長を持続するためには、規模の拡大も必要になるはずだ。

決算と同時に発表した300億円を上限とする自社株買いは、植木社長の「昨今の株価にJALの企業価値が適切に反映されていない」との思いが込められている。高い成長を求める投資家たちを納得させる戦略を描けるのか。今後の焦点は、来年初めには公になる次期中期計画だ。

中川 雅博 東洋経済 記者

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なかがわ まさひろ / Masahiro Nakagawa

神奈川県生まれ。東京外国語大学外国語学部英語専攻卒。在学中にアメリカ・カリフォルニア大学サンディエゴ校に留学。2012年、東洋経済新報社入社。担当領域はIT・ネット、広告、スタートアップ。グーグルやアマゾン、マイクロソフトなど海外企業も取材。これまでの担当業界は航空、自動車、ロボット、工作機械など。長めの休暇が取れるたびに、友人が住む海外の国を旅するのが趣味。宇多田ヒカルの音楽をこよなく愛する。

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