混乱!米大統領選「大どんでん返し」はあるか クリントン「メール事件」の影響はどれほどか

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また、伝統的に共和党が強固な地盤を持つミズーリ州でも、現職のロイ・ブラント上院議員に挑戦する民主党のジェイソン・カンダー氏が思いもよらぬ躍進を遂げている。現時点ではブラント上院議員が支持率で1%上回ってはいるが、勢いという点ではカンダー氏が勝っている。

「危機的状況」に立ち向かうべく、共和党幹部も奔走。資金集めに長けていることで知られるミッチ・マコーネル上院院内総務は、最近、共和党の選挙キャンペーンの賢人カール・ローヴ氏と共に自身が運営する選挙基金「上院リーダーシップ基金」で2500万ドルを集めた。この資金はニューハンプシャー州、ネバダ州、ペンシルベニア州、インディアナ州、ミズーリ州の共和党上院議員候補者の支援に使われるとみられている。

クリントン氏が直面する試練

仮に民主党が上院で過半を占めた場合、クリントン氏にとっての挑戦は、勢いを増している進歩主義者とホワイトハウスのパワーバランスをどうとるか、になる。国内の問題については中道派として知られるクリントン氏だが、バーニー・サンダース上院議員やエリザベス・ウォーレン上院議員に対しては、大幅に譲らなければならなくなるだろう。両氏とも格差問題やウォール街の規制、国際貿易問題などに熱心に取り組んでおり、民主党内でも強力な支持を得ているからだ。

とりわけクリントン氏については、米国内でウォール街に対して「甘い」との認識が広がっている。実際、夫で元大統領のビル・クリントン氏がホワイトハウスを離れ、ヒラリー・クリントン氏がオバマ政権で国務長官を務めて以来、夫妻は主に金融機関やそのほかの「エリート企業」から2億5000万ドルもの大金を集めてきた。

数十年間クリントン夫妻を取材してきたベテランジャーナリスト、ロン・フォーニアー氏によると、夫妻はしばしば利害の対立を招く問題に踏み込んでおり、これは「クリントンが国を統合し、治めていくうえでの倫理的権威の弱体化を招く要因になり得る」。

特に反ウォール街の旗手であるウォーレン氏は、間違いなく新政権で主要な経済政策を担当する役割を強く要求してくると見られる。同氏が要職を得ることになれば、ビル・クリントン政権で財務長官を務めたローレンス・サマーズ、ハーバード大名誉学長はほとんど何の役割も与えられないことになるだろう。同氏は、オバマ大統領の上席顧問を勤めたが、ウォール街に「近すぎる」ことや、住宅所有者への大胆な債務救済計画を縮小したことなどで、民主党の進歩主義者からの評判はすこぶる悪い。

貿易政策に関しては、クリントン氏がすぐに環太平洋戦略的経済連携協定(TPP)を推進できる見込みはほとんどない。近年、製造業の雇用の大幅縮小を懸念している労働組合が、国際貿易協定をその原因と見なしているからだ。メキシコや中国との取引が消費者と企業の両方に利益をもたらしているのは明らかだが、輸出入拡大のメリットを享受しているのは一部の業界に限られているうえ、他業界での雇用を促進する政策はいまだに出されていない。クリントン氏自身は、対中国政策として戦略的価値を持つTPPに積極的だとされるが、企業ではなく、労働者にTPPのメリットを訴えられないかぎり、早期批准は難しいだろう。

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