「ヒラリー支持者」が急増している4つの要因 共和党員が続々とトランプから離れている

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7月末の民主党全国大会以降、支持率でトランプ候補に差を広げているクリントン前国務長官(写真:Dave Kaup/ロイター)

7月29日にペンシルベニア州で開かれた民主党全国大会以降、米大統領選挙はヒラリー・クリントン前国務長官が、ドナルド・トランプ候補に対し優勢な流れとなっている。世論調査ではクリントンの支持率が7~8%上回っている状況だが、この流れの背景には何があるのだろうか。

クリントン氏優勢の流れにある背景とは?

第一に、トランプの妻、メラニア夫人によるスピーチの盗用など共和党大会が問題だらけだったのに対し、今回の民主党大会は近年でもっともまとまりのある大会だったことが挙げられる。バラク・オバマ大統領やミシェル夫人、ジョー・バイデン副大統領に加え、ビル・クリントン元大統領や、チェルシー・クリントンによる演説はいずれも説得力があった。また、サプライズゲストの登壇者たちの演説も、対抗馬であるトランプの大統領としての適性に疑問を呈するのに非常に有効だった。

特に、マイケル・ブルームバーグ前ニューヨーク市長による演説は、同氏自身が(トランプがキャリアのほとんどを過ごした地である)ニューヨーク出身で実業家であり、無党派であることから説得力にあふれていた。もう一人、パキスタンからの移民で、イスラム教徒であるキズル・カーンの演説も、予想以上のインパクトがあった。同氏は2004年に、米軍に所属していた息子をイラク戦争で失っている。トランプは、「イスラム教徒の米国への入国を禁止すべき」としているが、これに対するカーンの批判は胸に響くものがあった。

一方、トランプはこれに対して翌週、感情的かつ報復的な反発発言をしたが、これは同氏が大統領として必要な気質や成熟さ、他者の気持ちに対する理解が欠けているということを示す結果となった。また、彼はこの発言によって、多くの退役軍人やその家族の支持も失うことになった。さらに、最近の報道ではトランプがベトナム戦争時、4回も兵役を回避していたことが発覚している。

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