「ヒラリー支持者」が急増している4つの要因 共和党員が続々とトランプから離れている

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もう一つは、クリントン支持が広がっているとはいえ、その支持が決して「深くない」点だ。多くの共和党員が公然とクリントン支持を表明しているほか、女性や若者、ヒスパニック系、アフリカ系、アジア系米国人、LGBT、身体障害者、イスラム教徒、退役軍人などトランプから疎外されている人が数多くいることから、「投票しなくても勝てる」と一部の支持者が考え、投票しなくなる危険性がある。ファースト・レディや上院議員、国務長官として30年以上公職に就いてきたクリントンだが、それは有権者にとって「古いニュース」でしかなく、2008年に彗星のごとく現れたオバマ大統領や、トランプのように、新鮮味のある新しい顔がもたらす興奮を生み出すことができない点も危惧される。

実際、トランプより「まし」とはいえ、クリントンの好感度は高くない。たとえばアイオワ州では、登録有権者の36%がクリントンに対し肯定的な見方をしている一方、58%が否定的な見方をしている(差が-22%)。トランプの場合は、31%が肯定的で、64%が否定的(差が-33%)。オハイオ州ではクリントンは肯定的、否定的がそれぞれ36%と60%(差が-24%)。トランプは31%と62%(差が-31%)。ペンシルベニア州では、クリントンが43%と53%(差が-10%)、トランプが31%と63% (差が-32%)。トランプの最大の支持者は比較的教育水準の低い白人層だが、こうした層はかなり熱心であり、「にわかヒラリー支持層」よりも高い投票率が見込まれる。

2016年の選挙は米国の歴史の変曲点になる

一部の社会学者は2016年の選挙は、「過去の勢力」が「未来の勢力」に対して最後の闘いを仕掛ける、米国の歴史の変曲点になるかもしれないと主張してきた。女性やマイノリティ、移民などこれまで伝統的に不利な立場にあった人々が、多様性、多文化、グローバル化の最中にある米国社会で自分たちの正当な地位を確立しようとしている中、これまで頂点で権力を享受してきた白人が必死でその特権的な地位を守ろうとしているというのだ。人口統計学者の予想では、白人が少数民族となる「転換点」は2044年に訪れる。

確かにさまざまな観点から、2人の主要候補者がまったく異なる将来像を示す2016年の米大統領選挙は、現代米国史上もっとも興味深く、もっとも重大な結果をもたらす選挙になるといえる。

グレン・S・フクシマ 米国先端政策研究所(CAP) 上級研究員

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Glen S. Fukushima

ワシントンD.C.のシンクタンク「米国先端政策研究所(CAP)」の上級研究員。カリフォルニア州出身で、アメリカ合衆国通商代表部で対日と対中を担当する代表補代理や在日米国商工会議所の会頭を務めた経歴を持つ。また、ハーバード大学の大学院生のときには、エドウィン・ライシャワー教授、エズラ・ヴォーゲル教授、デイヴィッド・リースマン教授の助手を務めた。

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