米中関係は「現状維持」路線が濃厚
<米中関係>トーマス・フィンガー教授
米中関係の維持は、それぞれの国だけでなく、世界にとって非常に重要であり、次期政権にとって最重要課題となることは間違いない。ただ、二国間関係の維持はその重要性が増すにつれ、難しくなりつつある。
一部の人々は中国の台頭と米国の衰退を懸念するあまり、両国間の緊張を誤解し、誇張している傾向がある。過去8代の大統領はいずれも、中国に対して「ヘッジ政策(hedged engagement)」(関与=エンゲージしながらも、いざという時に備えて防護する=ヘッジする政策)をとってきたが、新政権もこの路線を踏襲する可能性が高い。米国内の問題は、中国や他地域を批判したところで解決できるものではなく、むしろこうした問題の解決には、世界平和や繁栄などを促す政策を通じて取り組むほうがいいだろう。
米中関係の緊張感緩和には、政策の劇的な変化よりもむしろ、注意深い舵取りが望まれる。中国は敵国ではなく、米国も中国がそうなることを望んでいない。両国にとって良い結果をもたらしてきた規則に基づいた国際秩序を超える変化でもない限り、次期政権は「現状維持」路線を変えるべきではない。米政府の基本方針は自由主義的で国際的なシステムの改善であり、中国をそのシステムに封じ込めたり、束縛したりすることではない。