ドナルド・トランプ氏による「女性蔑視発言」は、米大統領選でのトランプ氏の敗北を決定づけただけでなく、米共和党をも窮地に追い込んでいる。最新の世論調査ではトランプ氏の支持率が急降下していることが判明。現在、米議会では上院、下院とも共和党が過半数を占めているが、このままでは大統領選だけでなく、上院、下院ともに民主党に支配されかねない。
10月10日午前に発表されたNBCニュースとウォール・ストリート・ジャーナル紙による世論調査では、民主党のヒラリー・クリントン候補の支持率が52%と、トランプ氏の38%を上回った。この世論調査は、米メディアから「史上最悪の討論会」と批判された討論会に先立って行われた。
「トランプ氏は政治家としてはすでに死に体。9日夜のテレビ討論会はそんな中で始まった」と、今回の予備選挙でフロリダ州知事のジェブ・ブッシュ氏の選挙キャンペーンを率いた、共和党のベテラン政治ストラテジスト、マイク・マーフィー氏は話す。「死んだ政治家が討論会に出たところで、挽回することは難しく生き返ることはない」
共和党トップはトランプ氏と「決別」
それどころか、討論会は共和党がもっとも恐れる展開となった。(7日に露呈した女性蔑視発言に加えて)クリントン氏に前例のない個人攻撃を加えたトランプ氏は、彼に幻想を抱いていた有権者を大いに失望させた。すでに手遅れかもしれないが、トランプ氏をこれ以上、政治の表舞台に出し続けることは、米議会での主導権を失うだけでなく、共和党の沈没を招く。こうした中、共和党の上層部は、トランプ氏を共和党の候補者から引きずり下ろす準備を始めている
共和党のこれからを占うような出来事が8日に起きた。共和党幹部のポール・ライアン下院議員が、自身のお膝元であるウィスコンシン州の集会でトランプ支援者からブーイングを受けたのだ。ライアン下院議員はその数時間前に、米ワシントン・ポスト紙が公表した「失言」を受けてトランプ氏の集会への欠席を表明していた。
ライアン下院議員はさらに10日、これ以上トランプ氏の擁護も、共闘もしないという声明を発表し、下院議員の過半数維持に集中する姿勢を明らかにした。
この数時間前に行われた共和党員らとの電話会議では、トランプ氏に対して忠誠心を持つ必要はなく、自らの政治本能に従って行動するよう党員たちに促していた。
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