共和党震撼!トランプ暴走のヤバすぎる代償 大統領選で負けるだけならいいが…

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これに対してトランプ氏は、選挙戦を行っていたペンシルバニア州でライアン下院議員を公然と批判。自らが所属する党の大統領候補を攻撃する時間があるのならば、「予算管理か不法移民問題の解決にでも精を出すべきだ」と発言した。

すでに「孤立無援状態」のトランプ氏が、討論会で20年前のビル・クリントン氏の不倫問題を持ち出すなど、クリントン夫妻に対する個人攻撃に終始するという「戦術」に固執する理由の一つは、それでもトランプ氏を支持する熱狂的な支援者がいることだ。加えて、トランプ氏の選挙キャンペーンを率いる上層部は、クリントン夫妻の政治家生命を断つことに命を賭けているような、ベテラン政治活動家やゴリゴリの保守層で固められている。

実際、討論会でのトランプ氏の言動は容赦なかった。まず、討論会前の記者会見に、20年前にビル・クリントン氏に性的暴行を受けた訴える女性たちを同席させただけでなく、その後の討論会でも「家族席」にこの女性たちを座らせようとしていたことが明らかになっている。

さらに、討論会では、自分が勝利した際には特別検察官を任命しクリントン氏の嘘を追求し、投獄すると発言。これについてピューリッツァー賞受賞経験もあるコラムニストのユージーン・ロビンソン氏は、「トランプ氏がやっていることは、独裁者とまるで同じだ。私が取材した独裁者の多くは政敵を投獄してきた」とあきれかえる。

トランプ氏を大統領候補にした共和党の責任

これだけ悪材料が出てくると、トランプ氏が予備選で破ってきた候補者の方が、よっぽどクリントン氏に対抗できたのではないかと思えてくる。そもそも、秘密主義で有権者からも人気がないクリントン氏は、民主党史上「最弱」の候補と言われているのだ。

こうした結果を招いたのは、共和党にも責任の一端がある。共和党幹部は、グローバリゼーションの経済的影響に対する有権者の不満をあおることに成功したトランプ氏のある種の「能力」を過小評価していた。結果、大統領選に負けるだけでなく、米議会で過半数を維持できないという最悪の事態を招く可能性を作ってしまった。それどころか、トランプ氏の登場によって共和党も分断の危機にある。

「ハッキリ言って誰も共和党の未来なんて考えていない」と、元共和党委員長のマイケル・スティール氏は話す。「党の基盤を支える支持者と選出議員の間に大きな溝ができている。共和党が今のままで求心力を維持できるか、非常に微妙なところにきている」

トランプ氏を大統領候補に選んでしまったことで支払わされる代償は、きわめて大きいものになりそうだ。

(記事の英語原文も配信しています)

ピーター・エニス 東洋経済 特約記者(在ニューヨーク)

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Peter Ennis

1987年から東洋経済の特約記者として、おもに日米関係、安全保障に関する記事を執筆。現在、ニューズレター「Dispatch Japan」を発行している

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