両候補とも決定的な「決め手」に欠けるどころか、悪いニュースばかり出てくる状況だが、現在のところほとんどの米メディアはクリントン氏が勝利すると予測している。NBCニュースの政治部ディレクターのチャック・トッド氏は「支持率はクリントン優勢で安定しており、今回の(メール)問題でそれが変わるとは思わない」と話す。
ただし、米国の大統領選は各州の人口に応じて割り当てられた「大統領選挙人」の投票によって勝敗が決まる仕組みで、得票数で勝ったとしても、選挙人の投票数で負ける可能性がある。基本的には一般投票で1位になった候補者がその州の選挙人を「総取り」することになっているが、そこでカギを握るのが選挙人数の多い激戦区の動向である。上記の通り、激戦区では支持率でトランプ氏が差を縮めているとの世論調査もあり、クリントン氏の「楽勝」とはいかないかもしれない。
一方、現在は共和党が過半数を占めている上院については(現在は共和党54議席に対して、民主党は46議席)、今のところ民主党が過半を握る可能性が高いとみられている。選挙予想に定評のある「クック・ポリティカル・レポート」では、民主党が議席を6増やし、民主党52、共和党48になると予想する。
上院選では激戦区で両党候補が拮抗
民主党はインディアナ州、イリノイ州、ウィスコンシン州において上院の議席を獲得する可能性が高く、ニューハンプシャー州、ペンシルベニア州、ネバダ州、ミズーリ州でも大接戦が予想されている。
苦しいのは共和党の「下流」に属する共和党の上院議員たちだ。トランプ氏の度重なる問題発言や行為によって、自身の当選が微妙になっているからだ。これまでも彼らは、公然とトランプ氏を批判するか、トランプ氏側について人気に便乗するか究極の選択を迫られてきたが、どちらを選んだ議員も苦戦を強いられている。
たとえば、ニューハンプシャー州の共和党現職ケリー・アヨッテ上院議員は、過去の討論会で質問に答える格好で、「トランプ氏は子どもにとって良いロールモデルである」と発言したが、後になってこの発言を撤回することになってしまった。アヨッテ上院議員は、マギー・ハッサン知事と厳しい選挙戦を展開しており、今のところ支持率の差は1%しかない(アヨッテ上院議員がリード)。
一方、ネバダ州では引退するハリー・リード上院院内総務の席をめぐって、両党の候補が火花を散らしているが、ここではトランプ支持を撤回した共和党候補ジョー・ヘック氏が、トランプ支持者からの反感に苦しんでいる。現在のところ、それでもヘック氏が1%のリードを保っているが、レースは最後まで読めない。
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