高学歴女子にシワ寄せされる社会の過剰期待 「貢献せよ」しかし「みっともないのはNGだ」

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世間の価値観では疑いなく”勝ち組”であろうピカピカの経歴を持つ、ある女子大生は言う。

「結局、女性の負担が増えただけ。どんな時代であっても変わらないのは、産むのは女性だということ。それに、自分たちが親に与えてもらってきたような高めの家庭・教育環境を自分も子供に与えたいと思っても、共働きでどこまで近づけるのかもわからない。同じような環境は、もう日本では手が届かないのかもと思えてしまいます。無理難題であるとわかっているのに、時間が来ると就活で後ろから押し出される。不安です」

男だって、まして女はなおさら、丸腰で世の中になど出られない。

ツイートに滲んだ「ハイスペック女子の葛藤」

1日の睡眠時間、2時間。追い詰められていた彼女は電車の中で化粧をしただろうか。長時間労働が事実上の企業文化であり、勝ち組の頂点に君臨し続ける根拠の一つでさえあると知られた最大手広告代理店、電通の新入社員だった東大卒の高学歴女子は、去年のクリスマスに「限界だ」と言い残して身を投げた。

”神様、会社行きたくないです”
”部長「髪ボサボサ、目が充血したまま出勤するな」「今の残業量で辛いのはキャパがなさすぎる」わたし「充血もダメなの?」”
”土日も出勤しなければならないことがまた決定し、本気で死んでしまいたい”
”死にたいと思いながらこんなストレスフルな毎日を乗り越えた先に何が残るんだろうか”
”男性上司から女子力がないだのなんだの言われるの、笑いを取るためのいじりだとしても我慢の限界である”

 

死の5日前までつづられたツイートには、学歴や容姿、若さなど、今この時代に求められる女性としてフル装備のはずの彼女が職場で追い詰められていく様子が滲む。彼女は、24歳だった。あなたは24という年齢を「もう24」と思うだろうか、それとも「まだ24」と思うだろうか。

人前に出るのなら相手に不快感を与えぬよう、身だしなみとしてちゃんと薄化粧するのも社会人女性としてのマナーだと教えられた。そのくせ、化粧するなら場所をわきまえろ、ちゃんと年齢や塩梅もわきまえて大人のいい女を目指せと、世間は若い女性に化粧する場所や仕方まで講釈を垂れてくる。それは親切なのか、いやお節介なんじゃないか。

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