「所得150万円増加」って、どういうこと? GDP(国内総生産)とGNI(国民総所得)の違いは

✎ 1〜 ✎ 4 ✎ 5 ✎ 6 ✎ 最新
著者フォロー
ブックマーク

記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
はこちら

印刷ページの表示はログインが必要です。

無料会員登録はこちら

はこちら

縮小

日本の利子配当の受け取りは、海外から見れば日本への支払いである。日本が対外純資産を積み増すということは、世界のどこかの国が対外債務を増やさなくては実現できない。貿易収支や経常収支は赤字より黒字が好ましく、対外債務が多いより資産が多い方が好ましいと考える人は多いだろう。他の国々でも同じように考えているはずであり、日本が黒字を拡大させたり資産を増加させたりすることで、自分達の赤字や債務が拡大することはどの国も好まない。

日本がまだ貧しく、経済規模もそれほど大きくなかった時代には、日本経済が世界経済に与える影響を無視して行動することが許されただろう。しかし、2009年に中国に抜かれて世界第2の経済大国という地位を譲ったとは言っても、国連加盟国だけでも世界に193か国もある中で、まだ第3位の経済大国である。

日本は、他国の経済成長に依存しないで経済成長をするという、経済大国にふさわしい道を探るべきではないだろうか。

(撮影:尾形 文繁)

櫨 浩一 学習院大学 特別客員教授

著者をフォローすると、最新記事をメールでお知らせします。右上のボタンからフォローください。

はじ こういち / Koichi Haji

1955年生まれ。東京大学理学部卒業。同大学院理学系研究科修士課程修了。1981年経済企画庁(現内閣府)入庁、1992年からニッセイ基礎研究所。2012年同社専務理事。2020年4月より学習院大学経済学部特別客員教授。東京工業大学大学院社会理工学研究科連携教授。著書に『貯蓄率ゼロ経済』(日経ビジネス人文庫)、『日本経済が何をやってもダメな本当の理由』(日本経済新聞出版社、2011年6月)、『日本経済の呪縛―日本を惑わす金融資産という幻想 』(東洋経済新報社、2014年3月)。経済の短期的な動向だけでなく、長期的な構造変化に注目している

この著者の記事一覧はこちら
ブックマーク

記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
はこちら

印刷ページの表示はログインが必要です。

無料会員登録はこちら

はこちら

関連記事
トピックボードAD
政治・経済の人気記事