GDPの拡大による所得の増加であれば、国内生産の拡大に伴って雇用が拡大し、労働需給のひっ迫から賃金が上昇して雇用者の所得が増加することが期待できる。だがGDPではなくGNIを政策目標とすると、GDPが増える場合とは所得分配に差が生じる可能性が高い。
GDPが低迷する中でも海外からの利子・配当が増えれば、日本国内に住む人の所得は合計では増加する。これに対してGDPがあまり増えずに海外からの利子・配当の受け取りが増えてGNIが拡大する場合では、賃金があまり増加しない可能性が高い。
海外からの利子・配当の増加は、株価上昇や企業や金融機関の利子・配当の支払い増加という形で、資産を保有している人には利益が分配されるはずだが、国内生産が増えるわけではないので失業は解消され難く、賃金上昇には結びつかない恐れがある。
他国の成長に依存しない、内需拡大の道を探るべき
貿易収支の黒字拡大は「失業の輸出」という批判を招き、貿易摩擦を引き起こした。所得収支の黒字による経常収支の黒字拡大は、このような問題を引き起こさない。しかし、外需による経済成長というGDPの拡大も、海外からの利子・配当の増加というGNIの拡大も、海外の経済に負荷をかけて日本が成長するということには変わりがない。
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