GDPとGNIの違いは幾つかあるが、日本の場合にこの差が拡大しているのは、海外から受け取る利子や配当が増えているからだ。以下では話を分かりやすくするために、細かな差を無視して海外から受け取る利子・配当の差額だけ違うということにして話を進めよう。
海外との利子・配当の受け取りと支払いの差額は、国際収支統計上は経常収支の中の一つの項目である所得収支であり、この黒字拡大がGNIとGDPの差が拡大している原因である。
経常黒字が積み上がり対外純資産トップに
日本の経常収支黒字は、かつては貿易取引の黒字によるものが主因だった。だが、近年では海外との利子・配当などの受払である「所得収支」の黒字が経常収支黒字の主因となっている。さらに、東日本大震災の影響などから日本の貿易・サービス収支は、2011年度に赤字に転換したが、所得収支の黒字が大きいために経常収支全体は黒字を維持している。
このように傾向的に所得収支の黒字が拡大している原因は、日本が1980年頃から経常収支の黒字を続けており、毎年の経常収支黒字が対外純資産として積み上がっていき2012年末には296兆円にも達しているからだ。我が国の対外純資産額は世界第1位で、2012年末で296兆3150億円に達しており、第2位の中国の150兆2875億円、第3位のドイツの121兆8960億円を大きく上回る。
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