アマゾンは「起業の大衆化」を実現した 米アマゾン最高技術責任者のボーガス氏に聞く

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事業立ち上げ費用は100分の1に

――Airbnbの事例が出ましたが、AWSはエンタープライズにも使われる一方、そうしたニュービジネスのスタートアップを手助けするインキュベーター(孵化器)の役割を果たしている点を興味深く思います。

AWSによって、ビジネスの立ち上げを完全に大衆化できたと思います。それまでは最低でも300万~500万ドルはかけなければ、インターネットサービスを展開できないと言われていましたが、最近では100分の1の5万ドルで始められます。5万ドルで始められれば、かなりスムーズに立ち上げられるし、事業を息長くできるでしょう。

今までのようにハードウェアの世界であれば、若いビジネスが育っていくことは難しかった。AWSによって新しいビジネスを生み出した起業家たち、Pinterest(ピンタレスト)、Instagram(インスタグラム)、Dropbox(ドロップボックス)、Evernote(エバーノート)の創業者に話を聞けば、おそらく「クラウドなしにはできなかった」と言うはずです。

――そういう新しい産業をインキュベートした、という思いはありますか。

ジェフ・ベソスは、株主向けのレターの中で、プラットフォーム戦略についても触れています。その中で、「アマゾンのプラットフォームは、お客様が夢をかなえるためのもの」と語っている。ビジネスを生み出したのは起業家であって、私たちではないのです。

(撮影:尾形 文繁、梅谷 秀司、大澤 誠)

山田 俊浩 東洋経済 記者

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やまだ としひろ / Toshihiro Yamada

早稲田大学政治経済学部政治学科卒。東洋経済新報社に入り1995年から記者。竹中プログラムに揺れる金融業界を担当したこともあるが、ほとんどの期間を『週刊東洋経済』の編集者、IT・ネットまわりの現場記者として過ごしてきた。2013年10月からニュース編集長。2014年7月から2018年11月まで東洋経済オンライン編集長。2019年1月から2020年9月まで週刊東洋経済編集長。2020年10月から会社四季報センター長。2000年に唯一の著書『孫正義の将来』(東洋経済新報社)を書いたことがある。早く次の作品を書きたい、と構想を練るもののまだ書けないまま。趣味はオーボエ(都民交響楽団所属)。

 

 

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