アマゾンは「起業の大衆化」を実現した 米アマゾン最高技術責任者のボーガス氏に聞く
二つ目の相違点は、飽くなきコスト削減の追求です。顧客数やパートナーエコシステムの拡大により、リージョンは9つになりました。規模の経済が働くため、ハードウェアベンダーとの交渉力がついており、より低コストでデータセンターの建設や運営もできるようになっています。同一価格でサービスを提供すれば、自分たちの利益率が上昇するわけですが、そうせずにコスト効果を還元してきました。これまでに31回も料金を引き下げましたが、あまりに頻繁に値下げするため、顧客に驚かれるほどです。
効率的な利用方法を提案する「トラステッド・アドバイザー」という分析サービスも始めました。顧客企業の許可をもらい、こちらが分析をした上で、どうやったら更にコスト効果の高い運用をできるのか、レコメンデーションするサービスです。すでにレコメンデーションは30万件を超え、それにより実現された顧客のコスト削減は合計2200万ドルになります。それだけアマゾンに対して顧客が支払う金額が減ったことを意味しています。私たちの原則は、とにもかくにも顧客第一です。
そして最後の差別化要因は、顧客中心のイノベーション。新しいサービスを立ち上げるときには、まずは限られたフィーチャーでスタートし、顧客の意見を聞きながら、進化させていく。そのようにして展開をしたメジャーなフィーチャーやサービスが昨年は150以上になった。今年はまだ半年もたっていないのに、100を超えました。
あきんどスシロー、ガリバーなどが活用
――日本企業は自社システムを好み、クラウドには抵抗感があるとも言われます。そんな印象はないですか。
まったくありません。なにしろ2万社が東京リージョンで使っている。2万社の中にはまだビジネスを始めたばかりのところ、中小規模企業、大手企業と様々ですが、かなりの数字だと思います。
日本企業がクラウドを活用している具体的事例で公表できるものもあります。たとえば東芝メディカルは、CTスキャンなどの医療用画像を保管する用途で使っています。東急ハンズはPOSなどすべての基幹システムをAWSに移しました。信頼性が上がっただけでなく、コストを大幅に削減することにも成功しています。
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