アマゾンは「起業の大衆化」を実現した 米アマゾン最高技術責任者のボーガス氏に聞く

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中古車販売のガリバーもAWSユーザーです。パソコンベースでは店舗の奥にあるパソコンを前にしないと作業ができませんでしたが、これをタブレット中心の環境に変えるため、AWSへの移行を決断。先行投資や設備投資が不要になっただけでなく、サポートにもコストがかからなくなり、運用コストだけでも30%削減できました。花王は、デジタルプロパティを全てAWSに移すことにより、80%のコスト削減を実現しました。トヨタ自動車のIT部門もAWSを活用することで60%以上のコスト削減を果たしています。 

――コスト削減が劇的に進む、と。

それだけではありません。クラウドは、機敏性、俊敏性も実現させます。東急ハンズの場合には、信頼性も上がる、コストも下がる一方で、イノベーションの全社展開が速くなり、新店舗の開設も短時間で実現できるようになりました。こういった動きは、世界中のいたるところで見られます。大手石油会社のシェルはIT部門を含め非常にスピードが遅かった。AWSに移行した最大の理由はコスト削減ではなく、ITがより早く動けるようにすることでした。

もう一つ、弊社のプラットフォームでよくやられているのが、データのアナリティクス(解析)、つまりビッグデータの領域です。あきんどスシローは、非常に深い解析を行っています。データポイントが昨年の時点で12億もあり、自社システム(オンプレミス)では解析しきれなくなりましたが、クラウドに移行することで追いつくようになりました。

そのほか、ケンコーコム、京セラ、ソネットなどさまざまな企業がAWSを利用することで、業務スピードアップという効果を上げています。ハードウェアのことを心配せずに、新しいことを次々に始められるからです。

私どもは顧客から話を聞くことではじめて事例を知るのですが、こうした事例は本当にエキサイティングです。インターコンチネンタルやフォーシーズンズなどの大手ホテルグループは予約システムをまるまるAWS上で走らせています。ケンピンスキーというホテルグループもAWS。この会社は急成長を遂げているので、まるでIT会社のようになってきたというふうに感じていました。それでは困るということで、プロパティマネジメントも含めて全てのITをAWSに移す決断をしました。

――ホテル業界ではかなり使われているわけですね。

あと二つ面白い事例を説明しますと、ホテルロジックスという会社は大規模ホテルグループで行っているようなプロパティマネジメントサービスを、小さなホテル、ブティックホテル向けに提供しています。

それから新しい宿泊スタイルを提唱しているベンチャー企業のAirbnb(エアービーアンドビー)もAWSユーザーです。高級ホテルからブティックホテル、また新しいスタイルの宿泊先手配まで、ありとあらゆるところで使われています。

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