―― 自分で書くのは少し恥ずかしい気もしますが…。これは、ビジネスでプラスになりますか?
働く大人、特に上司や管理職にとって、見た目を整えることはリスクマネジメントの1つです。部下だって、どうせ営業先に同行してもらうなら、髪が整ったカッコいい上司の方がいい。他社にも紹介したくなります。女性部下のやる気も出ます。さらに、悪気ない一言が「セクハラ」と受け取られるリスクが減る、という話もあります。
見た目に気を遣い、整えることは、海外のエグゼクティブならば当たり前の心がけです。ひげや歯、肌やスーツなど、見た目を左右する要素はたくさんありますが、その中で最も手軽に、意のままに変えられるのが髪型なのです。「仕事だけできれば、それでいい」のは日本だけ。しかも昔の話です。
――「なりたい自分」を見つけた後、それに合う髪型を決めるときのコツは何でしょうか。
髪型が持つ「性格」に注目してください。漫画家がキャラを作りだすとき、はじめは髪型から決めます。例えば漫画『タッチ』に登場するたっちゃんの髪型にはレイヤーがあり、活発なイメージを出しています。一方、かっちゃんの髪型はツヤツヤでなめらか。こちらは優等生の象徴です。『ルパン三世』のヒロイン、峰不二子のボリューミーでうねりがある髪型はセクシーさのシンボル。『アルプスの少女ハイジ』のハイジとクララは、髪型を全く異なるものにすることで、2人の少女のキャラクターの違いを際立たせています。私たちは知らず知らずのうちに、髪型に性格を見出しているのです。
男性の場合、長髪だと不潔感がありますが、色気は出ます。また、クリエイター系の職業の場合は、長髪や個性的な髪型がプラスに受け取られることもあるようです。堅い業種では短髪しか許されない場合もありますが、同じ短いヘアスタイルでも、面を強調すれば知的なイメージ、毛先がツンツンしていれば元気で活動的なイメージ、毛先にカール感があれば色っぽさやオシャレ感が出たりします。自分がどう見せたいかを意識して、なりたいイメージに合わせて髪型を変えれば、髪の印象に引っ張られてイメージに近い評価を受けられるようになります。
ヒラリーは立場で戦略的に髪型を変えた
――なるほど。髪型が与えるイメージは思いのほか強く、その人のキャラに影響している、ということですね。
その点を活用して、ビジネスでの成功や支持率のアップに繋げているのが経営者や政治家です。例えばヒラリー・クリントン。ファーストレディのときは長い髪、議員時代は強く見えるショートヘア、今は女性層にファンを獲得したいので、ふわっとした優しげなスタイルにしています。「どう見られたいか」に沿って、髪型を変えているのです。
男性の政治家や経営者も、白髪が目立っていたり髪がボサボサのまま表に出る人はいません。リーダーシップや若々しさ、健康面に不安がないことなどを、髪で表現しているのです。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら