そもそも投資家の多くは、折からの低金利で運用に困った揚げ句、相対的に利回りが高い投資対象として住宅を買っていました。
そこへ来て、ECBがマイナス金利を拡大し、日銀までもがマイナス金利を導入したことで、先進国の国債投資では満足いく利回りが得られないため、世界中の投資マネーが比較的利回りが高い米国債に流れ込み、米国で想定外の低金利が進んでしまったのです。そのような背景があり、投資家による住宅への投資に拍車がかかっている状況にあるわけです。
米国経済は2018年までに後退局面へ
三井:住宅市場は実需を伴わない怖い状況にあるようですね。
中原:そうはいっても、米国で歴史的な低金利が続くかぎりは、投資家は住宅への投資をなかなか止めることができないでしょう。ところが、大都市部を中心として住宅価格にかなり割高感があるなかで、長い下降トレンドをたどってきた長期金利が上昇トレンドへ反転するようなことになれば、金利に非常に敏感な住宅市場は急速に悪化していくことが予想されます。これからの住宅市場の趨勢は、金利動向および投資家が握っているというわけです。
遅かれ早かれ、マイナス金利の限界と終焉は確実にやってくることとなるでしょう。マイナス金利の副作用ばかりが目立つようになり、ECBや日銀がマイナス金利の限界を認めるような政策変更に舵を切れば、マイナス金利を前提にした運用に傾斜していた投資マネーは、怒濤のごとく逆回転をし始めることになるのではないでしょうか。
その結果として、米国債の利回りが長い下降トレンドから上昇トレンドに転じることになるでしょう。すなわち、金利に非常に敏感な住宅市場は急速に冷え込み、米国の景気後退が現実味を帯びてくるというわけです。
そのように考えると、米国が2018年までに景気後退に陥る可能性はかなり高く、2020年までに景気後退を経験するのは不可避であるといえるでしょう。
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