「2つの過剰」に苦しむ世界の工場・中国 景気・経済観測(中国)
「政府主導、政府によるけん引に過度に依存して成長を刺激しても、成長を持続させることは難しい。それにとどまらず、新たな問題やリスクを生む可能性すらある」という李克強首相の言葉がその証左だ(5月13日)。このように、需要拡大を通じて在庫や生産能力の過剰感を払拭することに対して、中国政府は自制的になっている。
国有企業改革と投資抑制という難題
中国政府は上記のメカニズムを断ち切るために、弥縫策ではなく、構造改革に力を入れる構えだ。その一つが、国有企業の役割の再定義である。その方針を記した「国有企業改革深化に関する指導意見」の取りまとめ作業が現在最終段階に入っており、6月中にも発表される見込みである。
具体的には、「公益型」、「市場型」、「中間型(公益型寄り)」、「中間型(市場型寄り)」の四つに国有企業を分類することが検討されている模様だ。「公益型」には軍需産業や食糧・食塩関連など、「市場型」には自動車、電子など、「中間型(公益型寄り)」には石油、電信関連などが仕分けされるのではないかと指摘されている。
できる限り多くの業種を「市場型」ないしは「中間型(市場型寄り)」とみなし、より平等な環境で民間企業と競争させることで国有企業の参入障壁を相対的に引き上げるとともに、非効率な国有企業により強く淘汰を迫ろうとしているのだろう。
現に中国中央政府は、投資に関する25の許認可権を廃止、ないしは、地方政府に委譲すると今年5月に発表している(冷延鋼板、エチレン、パルプなど)。
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