では、その後、どうなったか? 結局、1人も紹介されることはありませんでした。営業担当に連絡をして不満を伝えたところ、どうしても人材が必要なら
・年収など待遇を改善する
・求める人材のレベルを下げる
といった条件変更をと突き付けられたとのこと。だからといって、待遇を簡単に改善したり、求める人材のレベルを下げるわけにはいきません。人事部長は期待できそうにない、営業担当からの紹介を待つしかない状況が続きそうだと嘆いていました。
オフィスワークをめぐる椅子取り合戦
それだけ、企業にとっては厳しい時代が続いています。一方、転職したい人が誰でも希望する仕事がみつかるというわけではありません。これだけ求人倍率が上昇しても、1.0を超えない、仕事も幾つかあります。
その代表的なひとつがオフィスワークと呼ばれる事務職。書類作成やデータ入力、などの事務作業から、電話や来客応対など幅広い役割が求められます。この職種で転職希望をするのは大半が女性で、転職希望者がたくさんいますが、退職者が少なく、求人数も多くないため、自然と転職求人倍率は低下。2016年4月の「オフィスワーク=事務職」の転職求人倍率は0.44倍(昨年同月0.53倍)でした。ここのところ0.4~0.5倍台で推移しており、競争率が高く、仕事が少ない状況が続いていると言えます。
社員たちのITスキルが向上して、事務を別の人に頼まずに済ませられることも、求人が増えない背景にはあるでしょう。
CNNのニュースでは、オフィスワークは電話セールス・訪問セールスなどと並び、消えゆく職種の代表格として紹介されました。オフィスワークでない別の職種で仕事を探せばいいようにも思えますが、オフィスワークは依然として高い人気があります。
たとえば、派遣社員から正社員になりオフィスワークで働くことを希望する女性は多くいます。総合職になり、責任の重い仕事を任されるのは荷が重い、定時に帰りやすいといった理由で希望する人も。一方、本当にオフィスワークが得意で、PCスキルを磨いて事務の専門家を目指したいというポジティブな理由の人もいます。
取材した派遣社員のSさんは、オフィスワークで転職するために地道な努力を続けていました。職業訓練でPCスキルを証明するMOS(マイクロソフトオフィススペシャリスト)と簿記三級を取得。加えて、実務経験がないと正社員になれないと考えて、日々の仕事にも熱心に励んでいるようです。Sさんに限らず、オフィスワークを熱烈に志望する人は本当にたくさんいるのです。
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