「事務希望の女性」が多すぎるという大問題 女性活躍を阻む、需要と供給のミスマッチ

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ここで、ますますオフィスワークをめぐる椅子取り合戦が過熱する傾向も出てきています。

ここ最近、一般事務を希望する女子大生が増えているのです。

一生働くことや体力を考え、長く地道に続けられそうなことから、オフィスワークを希望。出産・育児の両立を考えれば長い目でみて有利と考えての選択とも言えます。“腰掛け”でなく、一生涯働く場所、職種としてオフィスワークを選ぶ女性がたくさんいるのです。

しかも、上位校の女子大生がオフィスワークを希望するようになりました。責任の重い仕事はしたくないとか、プライベートを充実させたいという理由もあるようですが、その結果として大企業のオフィスワークで100倍を超える狭き門になる会社まで登場しているようです。

オフィスワークに固執せず、視点を広げてみる

このように、オフィスワークは女性にとって普遍的に人気のある仕事です。ただ、先述したとおり、今後オフィスワークの仕事が増えることは考えがたい状況です。IT化、ロボット化の進展によって、ますます削減されていく可能性もあります。給与も上がりにくく、求人の数が希望者の数に比べると少ないので、いったん離職すると再就職が難しい状況が続くのも間違いありません。それでも、(女性たちは)オフィスワークでの転職にこだわるべきか? やはり、求人倍率が高いもの、たとえば販売サービス、企画管理などまで職種の選択肢を広げて考えていくべきではないでしょうか?

たとえば、金融業界で増えている窓口販売職や「未経験でもOK」な店長候補の仕事など転職サイトやキャリアアドバイザーを通じての求人紹介で探せる仕事はたくさんあるはずです。オフィスワークに固執して機会を狭めるくらいであれば、視点を広げて転職活動に取り組んでみてはどうでしょうか。

また、政府は女性活躍推進の実現を目指していますが、これだけ女性たちから根強い人気のあるオフィスワーク、その雇用機会をどうするか、もっと考えるべきかもしれません。女性活躍推進といくら叫んでも、女性たちがやりたい仕事、実際にやれる仕事が少ない状況では、その目標の達成は容易ではありません。

先ほども書きましたが女性が生涯働くならば、どんな仕事を選ぶのか?と考えたときに、オフィスワークが減り続けていくなかで仕事を探せるのか? むしろ、女性の働く機会が減る可能性さえ感じます。今後、政府が取り組む働き方改革で、その問題をどうするのか、ぜひテーマのひとつとして取り組んでほしいと思います。

高城 幸司 株式会社セレブレイン社長

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たかぎ こうじ / Kouji Takagi

1964年10月21日、東京都生まれ。1986年同志社大学文学部卒業後、リクルートに入社。6期トップセールスに輝き、社内で創業以来歴史に残る「伝説のトップセールスマン」と呼ばれる。また、当時の活躍を書いたビジネス書は10万部を超えるベストセラーとなった。1996年には日本初の独立/起業の情報誌『アントレ』を立ち上げ、事業部長、編集長を経験。その後、株式会社セレブレイン社長に就任。その他、講演活動やラジオパーソナリティとして多くのタレント・経営者との接点を広げている。著書に『トップ営業のフレームワーク 売るための行動パターンと仕組み化・習慣化』(東洋経済新報社刊)など。

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