それが90年、2000年代と進むにつれて、事情が変わります。女性はまず、働くか働かないかを選択できる。働くにしても、正社員か、契約社員か、派遣社員か、あるいはパートなのかなどを選択できる。で、働くと決めたとしても、子どもを産むか、産まないのか。産むなら何歳で産みたくて、そのときに仕事を続けるのか、辞めるのか。ものすごくさまざまな、選択のポイントがあります。
そうなった今、結婚は単なるゴールではなくなり、さまざまな選択の途中経過という感が強くなりました。同時に結婚式も、花嫁が「いいところにお嫁に行ったね、バンザイ!」とみんなにお祝いしてもらう場から、新郎新婦が「自分たちはこういう選択をします。これからも支えてください」と決意表明をする場へと変わっていった。
だからこそ、男性も結婚式の主役になってきています。ここ5年くらいで、準備に対して積極的な男性が増えました。結婚式後に「彼が式の準備に積極的だった」と答える花嫁は、直近では全体の8割に上りました。『ゼクシィ』では、こういう男性たちを「イケ婿」と呼んでいて、新しい読者層ととらえています。
――なるほど、イケ婿ですか……。ところで、女性の生き方の多様化は、結婚に限らず、女性関連市場に広く影響していると感じますか?
そうですね。先月『DRESS』というファッション誌が創刊しましたが、これは価値観の多様化が進む女性の生き方に対し、就業や結婚、出産などにとらわれない選択肢を提示しようとしている雑誌ですよね。「結婚」「結婚式」という既存のマーケットで生きていく『ゼクシィ』と成り立ちはまったく別ですが、「女性の人生の選択をいかに応援できるか」という点が、共通するカギだと思います。
『ゼクシィ』は、自分の選択を自分やゲストが肯定できる結婚式を作るお手伝いをしたいという気持ちで作っています。アプローチは少し違いますが、どんなメディアでもそれを作るうえで大切な根底は同じように思います。
すさまじく強力な読者組織
――読者マーケティングはかなり念入りにされているのですか?
そうですね、カスタマーマーケティングは徹底的にやってきたつもりです。その肝になっているのが、「花嫁1000人委員会」と「花婿100人委員会」という読者組織です。
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