"新人"宇宙飛行士が体得した、異文化理解 実は熱いロシア人、真に打ち解けにくいアメリカ人?

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日本人の柔軟さが「武器」になる

ところで、米国人宇宙飛行士は、没入訓練で異文化理解が進んだのだろうか。

大西によると「楽しんで帰る人と、そうでない人がいる」。実は6週間の没入訓練中、ホームステイにするかホテルに泊まるかは、本人の希望で選ぶことができる。日本人飛行士は、特に制約がなければほとんどホームステイを選ぶ。だが米国人飛行士は半々の割合でホテルを選ぶという。「1日中、ロシア語を聞いてクタクタになったときに、一人で落ち着ける部屋がほしい」というのがその理由だ。

同様に、ホームステイでいろいろな体験をし、ロシア料理がおいしかったという米国人もいれば、食べ物が合わず休日はホテルでのんびりしていた人など、人それぞれ。つまり個人差が大きいのだ。

一方、日本人はアメリカに行けばアメリカに、ロシアに行けばロシアに順応し、相手の文化に柔軟に合わせようと務める。「日本も固有の文化を持っていますが、日本語は海外でまず通用しない。世界でやっていこうと思えば異文化に対応せざるをえない民族だと思う。だからこそ、その柔軟さが日本のすごい武器になるかもしれない」と大西は言う。

ロシアとアメリカ、さらに欧州という異なる文化背景をもつメンバーが滞在するISS。自分の文化や意見を主張する人たちばかりがいては機能しない。相手を尊重し和を重んじる日本人が、意外に重要な役割を果たすことができるのかもしれない。(=敬称略=)

(撮影:尾形文繁)

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