TOEIC900点でも日本人が「話せない」理由 ぶち当たる「壁」をどう乗り越えるべきか

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では、この2つの壁を越えるためには、どうすればいいのでしょうか。

英語の知識はあるのに、話せない。そんな日本人は思い切って「英語環境」に身を置いてみるのがオススメです。留学に行くと費用も時間もかかってしまい、効率が悪いと考えがちですが、筆者は、コスパはそこまで悪くないと考えています。グローバル就職を目指す若者だけでなく、多くの人にとって最も効率のいい方法だと思います。

留学で、見事英語の壁を突破することに成功した3つのケースを見ていきたいと思います。

留学最初の1カ月はホームステイを選択

① Yさんの場合(28歳女性・翻訳会社勤務)

Yさんは、大学の英文科を卒業した後、翻訳専門の会社に就職。主な業務は海外メーカーの取扱説明書を日本語に直すことです。YさんのTOEICのスコアは、なんとほぼ満点。ただ、英会話に対してずっとコンプレックスを持っていました。会社を休職し、海外留学を決意したのはそんな苦手意識を克服したいという思いからでした。

9カ月間の留学では、アメリカの大学の社会人向けコースに加え、マンツーマンレッスンを選択。できる限りアウトプットの機会を増やすようにしました。どちらかというとシャイな性格のYさんですが、せっかくの機会を無駄にしたくないと思い、講義の後には留学生同士のディスカッションに参加するよう心がけました。また、留学期間中の最初の1カ月はホームステイを選択し、帰宅後はホストファミリーとその日の出来事を話すようにしたそうです。

当初は、ホストファミリーとの簡単な会話さえうまくできず、落ち込む日が続きました。また、留学生同士のディスカッションでも、3カ月が過ぎてもなかなか自分の意見が言えず、焦りを感じていたようです。それでも、地道にインプットとアウトプットを繰り返し続けました。

転機が訪れたのは、留学して半年がたとうとしていた頃。教授との質疑応答の際に、自信を持って自分の意見を述べている自分がいたのです。自分の越えられなかった壁を越えた実感があったと、Yさんは教えてくれました。

個人差はありますが、社会人の場合はYさんのように半年くらいの期間を要して英語の壁を突破する方が多いように思います。個人的にも経験がありますが、英語を習得する意欲がある人が長年学習していると、ある時点で伸び悩むことがあります。

今回の場合、なるべく放課後や滞在先でアウトプットする機会を増やす工夫をし、インプットとのバランスを取っていたことが勝因として挙げられます。彼女は帰国後、定期異動の際に念願の海外勤務の機会を得ることに成功しました。

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