「ボロ儲け」より「価値のデザイン」が好き 「新しい市場のつくりかた」著者、三宅秀道氏の好き嫌い(下)

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三宅:音楽の比喩で言うと、僕はどちらかというと一発生録りというか、モヤモヤしているのをいきなり即興でレコーディングするのが好きですね。「この間聞いた三菱重工の人の話から始めようか」と思った瞬間、すぐ机に向かいます。

楠木:なるほど。何を書くかというのは、完全に内発的なものなのですね。思わず突き動かされて、書きたくなることを書くと。

三宅:ええ。「こんなことを説明してわかってもらったら、面白いよね」みたいなものは普段からボ~と考えていて。ちょっとオカルトっぽいですけど、文章にするときは何か下りてきた感じでワァーっとやります。

楠木:もう次の本は決まっているのですか?

三宅:いえ、いえ、いえ。いや、あの(笑)。本を出した直後に藤本先生にお目にかかって、「18年かけて書いたので、今はもう頭がポーッとして、全然働かないです」って申し上げました。阪神・淡路以来の宿願で、いろいろなネタを全部詰め込みましたから。そうしたら先生が「18年かかったなら、また18年かけて書けばいいんだよ」っておっしゃってくださって、それはすごく。本当に、もう、すごく……。

楠木:いいこと言うなあ、さすがに。藤本先生は言語的反射神経抜群ですからね。

三宅:18年は、そこまではいかないと思うんですけど、でも……。

楠木:じゃあ、18カ月ぐらいで?

三宅:ええ?!! (笑)。

(構成:青木由美子、撮影:大澤誠)

楠木 建 一橋ビジネススクール特任教授

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くすのき けん / Ken Kusunoki

1964年東京都生まれ。1992年一橋大学大学院商学研究科博士課程修了。一橋大学商学部助教授および同イノベーション研究センター助教授などを経て、2010年より一橋ビジネススクール教授。2023年から現職。専攻は競争戦略とイノベーション。著書に『ストーリーとしての競争戦略』(東洋経済新報社)、『絶対悲観主義』(講談社+α新書)のほか、近著に『経営読書記録(表・裏)』(日本経済新聞出版)などがある。

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