金利急騰!債券市場を破壊した黒田緩和 日銀は管理不能、高まるリスク

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債券市場のリスクは高まっている。今回の売りのきっかけは米国の景気回復期待から米国の長期金利が上昇(5月8日1.629%→14日1.976%)し、株価も上昇したことだ。だが、日本の国債金利急騰の背景には、4月4日の黒田東彦新総裁による日本銀行の異次元緩和以降、日本の債券市場が流動性が極端に低下した不安定な状態に置かれているという事情がある。「黒田緩和が債券市場を壊した」というのが債券市場関係者の共通認識なのだ。

黒田緩和以降、債券市場の混乱は続いている。日本の10年物国債金利は、異次元緩和決定の翌日の4月5日午前に0.315%と昨年の12月の0.36%のスイスの史上最低の記録を更新したが、その日の午後には上昇し一時0.620%をつけた。

債券市場参加者からは日銀に対する批判が噴出し、日本銀行はあわててオペレーションの回数を月6回から8回に増やし、1回あたりの購入額を減らすという措置を発表、4月後半には、市場はいったん落ち着いたかに見えていたが、連休明け後、再び暴れ出した。

FRBが金融緩和の出口を目指せばリスク高い

こうした不安定さに対して、抜本的な解決策はないのが実情だ。異次元緩和の枠組みを根本的に見直すことは黒田総裁にとって自己否定になるからだ。バークレイズ証券の森田氏は「せいぜい可能性があるのはさらにオペレーションの回数を増やすぐらいだが、これも、財務省が新規発行を行う日は避けるなど様々なスケジュールの間を縫っているので、限界があり、かえって混乱をきたす恐れもある」という。

先行きの最大のリスクは米FRB(米国連邦準備制度理事会)がQE3(長期国債やMBSの月850億ドル買い入れ)の規模縮小など金融政策の出口に向けて動き出すことだ。

「今回は米国の金利が10年物で2%の手前で止まっており、たいした上昇ではなかった。たとえば、米国の雇用統計において2カ月連続で非農業部門雇用者数が20万人を超えるなどの良い経済指標が出てくれば、一気に出口の議論が高まり、金利の上昇はこの程度では済まなくなる」(森田氏)。

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