だから、SMAPの場合は、マネジメントが効いているからこそ、あんな謝罪はさせていけなかった。マネジメントしているなら、服従させてでも、SMAPらしい解散メッセージを出せばよかった。実はあそこで露呈したのは、マネジメント力が低下しているということではないでしょうか。
忘れかけてた魔法
矢野:私はそれにショックを受けていたのかも。「芸能事務所」というのは不思議な言い方です。お祭りの場で行うのが芸能です。でも、芸能事務所は芸能の中に社会性を持ち込んでいる。
ジャニーズ事務所は目利きのジャニーさんが「YOU来ちゃいなよ」で連れてくる。敏腕のメリー(喜多川)さんが実務の面でマネジメントしている。芸能と社会との両輪があって、ジャニーズがあった。
今、ジャニーさんの力が弱くなっている中で、強権な部分だけが前面に出てしまったのかもしれません。常見さんにお聞きしたいのですが、やはり一般的に考えてワンマン経営は限界があるのでしょうか?
常見:ワンマンや同族経営のすべてが悪いのではありません。その企業のステージによります。むしろ、当事者意識があるわけですし、意思決定のスピードも速いです。カリスマでひっぱってきたなら、それを持続させるには後継者を育てないといけません。
状況が1990年代半ばの『週刊少年ジャンプ』と似ていると思いました。その時期、ジャンプは最盛期に650万部超というすさまじい部数を記録していた。ですが、『SLAM DUNK』や『ドラゴンボール』が終わり、『週刊少年マガジン』に部数を抜かれてしまいます。
しかし、『ONE PIECE』『HUNTER×HUNTER』『NARUTO -ナルト-』が出てきてヒットし、女子にもウケたり、グローバル展開しやすいコンテンツを着々と仕込んだため、再度2000年代にマガジンを抜きトップに踊り出ます。
ですから、SMAP解散後も着々と人を育てていくことで、新しいジャニーズが生まれ、芸能の歴史を塗り替えていくことを期待したいです。
もっとも、SMAP解散を皮切りに、今後、ジャニーズ事務所に何かが起こったら、日本の芸能界再編、業界ビッグバンが起こる可能性があります。独立や移籍、引き抜き合戦などがあるかもしれません。究極はディズニーでしょうね。統一の世界観があって、そのうえで変えるところと変えないところがある。
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