0.4%台へ再低下か上昇か、方向探る長期金利 市場動向を読む(債券・金利)

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4月中旬の債券市場では「余震」がなかなか収まらなかった。長期金利は再び上振れして、異次元緩和後の最高値0.650%を付けたり(15日)、0.50%台半ばに低下したりを繰り返した。根本的な原因・背景は“ボラティリティの上昇・高止まり”と目された。債券投資家のリスク許容度がそれによって低下したのだろう。積極的な売買が手控えられ、模様眺めムードが市場を覆った。

「超需給相場」期待から「流動性の枯渇」懸念へ

異次元緩和の債券市場への影響をめぐっては、当初の「超・需給相場による金利下振れ・低位安定化」という期待が、「流動性の枯渇による金利上振れ・不安定化」という懸念にみるみる変貌。金利の適正レベル感(水準感)も失われ、『怖くて相場に手を出せない』という弱気心理が蔓延した。

結果、相場のボラティリティが高止まりするなか、『10年前のVaR(Value-at-Risk)ショック時のように、金利リスク量を減らすための大規模で機械的な債券売りが早晩誘発されるのではないか?』との不穏な空気も漂った。そのことがまたボラティリティを下げ渋らせるという悪循環だ。新発5年利付国債利回りでは一時0.305%まで急上昇する場面があったが(10日)、それは『すわ第2のVaRショックか!?』とヒンヤリさせられる相場急変だった。

黒田東彦日銀総裁は債券市場の右往左往を見て、『市場が新しい均衡点に向かう動きを注視』と警戒感を表明した。なお、債券先物取引では異次元緩和後の約1週間で、くだんのサーキット・ブレーカーが合計5度も発動された。

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