物価上昇2%達成で、日銀政策委員に温度差 展望リポートの記述に2人の委員が反対

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ただし、短くすることが分かりやすさに直結するとはいえない。たとえば、急速な円安を受けた輸入物価の動向は、「為替相場の動きが当面上昇要因として働く」としたうえで、「国際商品市況が世界経済の成長に沿って緩やかな上昇基調をたどる」と想定し、「上昇を続けると見込まれる」としている。単純に物価上昇の要因として言及しているだけで、輸入物価上昇が企業のコスト増となるというようなリスク要因としての記述はない。

展望リポートの表現に2人の委員が反対

大胆な金融緩和策を打ち出し、つれて物価見通しも上方修正するというスムーズな流れに異議も出た。今回の展望リポートでは、『見通し期間(13年度~15年度)の後半にかけて、「物価安定の目標」である2%程度に達する可能性が高いとみている』と記されたが、黒田総裁は会見で、「佐藤(健裕)委員と木内(登英)委員が(上記の記述に)反対意見を述べた」と説明。佐藤委員と木内委員は、1月の会合で2%の物価目標を決めた際、過去20年でほとんど実現したことがない物価水準を目標として掲げるには「無理がある」と反対票を投じた2人だ。要は、「達する可能性が高い」という”強気”の表現に反対したわけだ。

 政策委員の物価見通しの「バラツキ」からも、2%達成に向けた温度差がはっきりと見て取れる。15年度の前年度比1.9%という数値は政策委員見通しの中央値で、一番上が2.2%、一番下が0.9%、上下では1.3%の開きがある。昨年10月に翌々年度(14年度)の見通しを出た時は、上が1%で下が0.4%、中央値は0.8%だった。

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