消費税セールは禁止? 値上げに悩む小売業 消費増税対策へ各社は早くも動き出した

ブックマーク

記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
はこちら

印刷ページの表示はログインが必要です。

無料会員登録はこちら

はこちら

縮小
イオンの岡田元也社長は政府の方針を批判(撮影:大澤誠)

衆議院で審議が始まった消費増税分の価格転嫁を円滑にする特別措置法案に対して、小売企業から反発が相次いでいる。

法案は、来年4月の消費増税後に外税表示を認めるほか、「消費税還元セール」などと銘打つ値下げセールの禁止や納入業者が小売り大手に消費増税分の上乗せを要求する価格転嫁カルテルを容認するもので、2017年3月末までの時限立法だ。仕入れ側が納入業者の転嫁を拒否するのを防ぎ、納入業者への税負担押し付けを回避するのが立法目的とされるが、「政府、日銀の物価上昇率の目標2%を達成するため、何が何でも増税分を価格転嫁させるのが本当の狙い」(業界関係者)とも揶揄される。

それだけに、値上げを抑制することで他社との差別化と消費喚起を図りたい小売企業の怒りが収まらない。前回1997年4月の引き上げの際、大手スーパーの販売は軒並み低迷した。98年11月にイトーヨーカー堂が口火を切って還元セールを始めると、ジャスコ(現イオン)、ダイエー、西友など各社が追随。消費者から支持を集め、既存店売上高は一時的に回復した。

イオンの岡田元也社長は「還元セールについての議論は、非常にくだらない議論。ましてカルテルを認めるなど、ほとんど暴走」と辛辣だ。ファーストリテイリング(ユニクロ)の柳井正社長は「政府が消費税還元セールについて、法律を作って規制すること自体、理解できない。それで先進国か」と話す。

ある小売り大手首脳は「おそらく、体力のない企業は実は安心しているのだろうけど、やり方次第でどうにでもなる」とみる。法案にはあいまいな部分も少なくない。成立後に禁止行為のガイドラインが示される方向だが、判断が難しいケースが続出し、混乱を招くおそれもある。

次ページ対策は横にらみ
関連記事
トピックボードAD
ビジネスの人気記事