JTがもくろむ、「メビウス」の値上げ 旧「マイルドセブン」、消費増税の転嫁以上の可能性も
来年(2014年)4月に控える消費増税。5%から8%への税率引き上げに絡み、さまざまな企業が対応に追われている。商品・製品やサービスの価格を改定するかどうかは、各企業にとって大きな焦点となる。税率に合わせた値上げをする場合もあれば、すでに現行の価格据え置きを表明しているカジュアル衣料品店「ユニクロ」などのように、実質的な値下げを打ち出す企業もある。
世界たばこ3位のJT(日本たばこ産業)は、主力商品のたばこについて「適正な価格転嫁をする」(小泉光臣社長)と、消費増税に合わせた価格の引き上げを検討しているようだ。たばこの価格は10円単位で決まっているため、増税分だけを一律に引き上げるのは難しい。そこで前回1997年の消費増税時には一部の銘柄で多めに価格を上げて、他の銘柄の価格を据え置くなど、全商品で増税分の値上げになるように対応した。
今回もたばこ全体では、前回の消費増税時と同様の措置が採られることになりそうだ。ただ、JTが主力とする「メビウス(MEVIUS)」(410円)については、消費増税による実質的な転嫁分を上回る幅で、値上げとなる可能性がある。
「メビウス」は、今年1月まで「マイルドセブン」として販売していた商品。国内たばこ市場でシェア約3割、JTの国内販売の半分程度を占める旗艦ブランドである。海外ではたばこの規制強化が進んでおり、「マイルド」の名称は健康への影響を正確に表していないとして、規制の対象となる可能性があるため、36年の歴史に幕を閉じ、ブランドを刷新した経緯がある。
一方、「名称変更は、将来的にプレミアムブランドたるブランドに育てていくことを目標としたもの」とする小泉社長の発言からは、もともとマイルドセブンをメビウスに変えた背景には、消費増税とは別にこの旗艦ブランドの値上げを想定していたことが読み取れる。
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