JTがもくろむ、「メビウス」の値上げ 旧「マイルドセブン」、消費増税の転嫁以上の可能性も

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だが、今年2月の名称変更と同時に値上げが行われることはなかった。ブランド刷新のマイナス影響が懸念されたためだ。日本の喫煙者は、諸外国に比べて同じ銘柄を吸い続ける傾向が強いといわれる。「こうしたブランド刷新に踏み切るのは、なかなかできない」と、ライバルの外資たばこメーカー幹部は評する。

JTにとっては、国内で圧倒的な人気のある「マイルドセブン」の顧客を「メビウス」へと乗り換えさせ、定着させる必要がある。そこで、JTは先行して昨年11月にパッケージだけを変更。2月に名称を変えるという2段階方式によって、ブランド刷新を慎重に行うとともに、コンビニエンスストアなどでの大掛かりな販促活動も展開した。

シェアはマイルドセブン末期よりも向上

その甲斐あって、ブランド刷新に伴うマイナス影響は今のところ出ていないようだ。それどころか、シェアはマイルドセブン末期の30.2%(13年1月)から、メビウス刷新後の3月には逆に32.2%にまで向上した。「大いに手ごたえを感じている」と小泉社長は語る。

そもそも、健康志向などでたばこの販売数量は縮小していくことが予想され、将来的には単価を引き上げて採算の改善を図ることが不可欠だ。加えて、410円のメビウスと競合する米フィリップモリスの主力商品「マールボロ」は440円。競合品と比べても価格引き上げの余地があると見られていた。

小泉社長は値上げの時期について「現時点では特段のプランはない」と強調する。ただ、前回の値上げは10年10月、たばこ増税と同時に行われていることから、「14年4月に予定されている消費増税のタイミングで、増税分と合わせて値上げするのではないか」(業界関係者)との見方も出ている。

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