貧困を議論するより、「痛み」の緩和が先だ

激論!鈴木大介×「失職女子」大和彩<前編>

ルポライターの鈴木大介氏は自身が病に倒れたことで、働く以前に「生きること」に格闘する人の気持ちを身を持って知ったと語る(撮影:今井康一)
「これほどの思いをして、ようやくたどり着くのが生活保護なのか」――2014年に発売された『失職女子。~私がリストラされてから、生活保護を受給するまで』に、ルポライターの鈴木大介さんが寄せた言葉だ。
同書は著者の大和彩さんが失職し、再就職を目指すも100社連続不採用、住む場所すら失いそうななか、やっとの思いで生活保護を申請し、受給に至るまでの一部始終をつづったノンフィクションだ。生活保護受給の当事者、しかも女性による記録はそれまでないに等しかった。
子どもを抱えながら貧困にあえぎセックスワークに従事するシングル・マザーや、虐待家庭を飛び出してやはりセックスワークに絡め取られる“最貧困女子”たちを多く取材してきた鈴木大介さんは、貧困当事者となった女性の実情、生活保護受給に至るまでの心理がよくわかる1冊として、同書および大和さんにエールを送りつづけた。同年、雑誌の対談でふたりは顔を合わせ、直接言葉を交してもいる。それから約2年後の9月上旬、2人は再会した。

病に倒れて、ものすごく後悔しました

――「鈴木さん……すごくやせたんですね!」

9月上旬、約2年ぶりの再会の席で、大和さんはまず鈴木さんの外見に驚いていた。鈴木さんは2015年に脳梗塞で倒れ、命は取りとめたものの高次脳機能障害が残った。リハビリを経て現在は仕事を再開しているが、生活習慣を大きく改善し、その一環で大幅にウエートダウンしたことは、今年6月に発売された闘病ドキュメント『脳が壊れた』に詳しい。

鈴木:お久しぶりです。病に倒れて以来、僕は何度も大和さんのことを思い出していました。

大和:私のことを、ですか?

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