貧困を議論するより、「痛み」の緩和が先だ 激論!鈴木大介×「失職女子」大和彩<前編>
大和:本を出したからといって文筆業で身を立てられるわけでもなく、フルタイムでのお仕事は当分無理そうで、私はこのまま死んでいくのかなと思った時期もありました。けど、偶然が重なって自分でもできそうなアルバイトを見つけたので応募しました。控除制度があるため、保護費と合わせての収入自体はさほど変わらなかったのですが……。
――アルバイト先から給料が振り込まれると、福祉事務所に収入申告を行う。その額が仮に7万5000円だった場合、翌月の受給費から5万5000円が引かれ、控除されプラスの収入となるのは、2万円だ。控除額は収入によって変動し、バイト代が1万5000円なら、収入申告をしたうえで1万5000円が控除されそのまま手元に残る……この制度が生活保護者の就労意欲の低下につながることは、つとに指摘されている。
コンビニのバイトはとてもできない
大和:それでも、アルバイトは長く続けるつもりでした。こうして社会と接点を持つことで、後々の社会復帰につなげたかったので。でも、体調が著しく悪くなり、シフトに入れないのを理由にクビになりました。保護が受理されて以来、体調が回復したわけでもないので、アルバイトは時期尚早だったのかもしれません。
――「働きたい」けど「働けない」状態が続く大和さん。現在は鈴木さんがいうところの「痛み、苦しみの緩和」を目指して療養中だが、理由がなんであれ「働けない」人に向けられる社会の目は決してあたたかいものではない。「体調が悪いなんて、ただの甘え」「仕事を選り好みしている」「コンビニのバイトでもすればいい」などの声が飛んでくる。
鈴木:コンビニのバイトって簡単にいうけど、今の僕にはできませんね。
大和:私にも無理です。コンビニのお仕事はマルチタスクで、高度な能力が求められますよね。
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