「東京vsロンドン」空港鉄道はどちらが便利? 英国2大空港は4割超が鉄道やバスを利用
空港からヴィクトリア駅までの運賃は、ガトウィック・エクスプレスで19.90ポンド、サザン鉄道のローカル列車で15.50ポンド。参考までに、同じくロンドン市内ヴィクトリア駅との間を結んでいるナショナル・エクスプレス社の路線バスは、所要時間1時間20分、8ポンドで運行しているが、わずか1/3の時間で到着できる鉄道が優位なことは間違いない。また、テムズリンクの列車は24時間運行を行なっているのも特筆すべき点だ。
しかし、一つ解せないことがある。途中ノンストップのガトウィック・エクスプレスだが、いくつかの駅に停車するサザン鉄道の列車と所要時間がほとんど変わらないか、むしろ遅い列車もあるのだ。座席も特別良いわけではなく、最新の車両は通常の近郊型車両と柄で差別化した程度の違いしかない。せめて、京成の「スカイライナー」と「アクセス特急」くらい、所要時間か車内設備に決定的な差がないと、わざわざ追加料金を払ってまで乗りたいとは思わない。
第3の空港は鉄道が苦戦
■スタンステッド空港
ロンドン北東に位置するスタンステッド空港は、ヨーロッパ域内への短距離便が中心の空港で、規模ではヒースロー、ガトウィックに次ぐロンドン第三の空港だ。ロンドン市内のリバプールストリート駅まで、アベリオ・グレーターアングリア鉄道によるスタンステッド・エクスプレスが運行されており、所要時間は約50分~1時間程度、運賃は19ポンドとなっている。
一方で、ナショナル・エクスプレス社もロンドン市内へ路線バスを運行しているが、他の空港と大きく異なるのは、市内各所へ向けて4路線も運行されており、完全に鉄道と競合している点だ。リバプールストリート駅までで比較してみると、所要時間は列車とほぼ変わらないが、バスの値段は11ポンドと割安で、しかも4路線がそれぞれロンドン市内の異なる地域へ向かい、途中いくつかの停留所に停車するというきめ細かさで、鉄道にとって非常に分が悪い。
どうして鉄道がここまで苦戦するのか。これにはロンドン市内の道路事情が関係している。ヒースロー空港やガトウィック空港にも高速道路のアクセスはあるが、日本のような「首都高速」があるわけではなく、かなり郊外の時点で高速道路は終了し、あとは渋滞する一般道をひたすら通行することになる。一方、スタンステッド空港から伸びるM11号線は、他の高速道路と比較して比較的都心へ向かいやすく、所要時間の面でも勝負ができるとあって、4路線も開設されたのだろう。空港ターミナル内まで線路が伸びている鉄道の中では、一番厳しい状況なのは言うまでもない。
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