「東京vsロンドン」空港鉄道はどちらが便利? 英国2大空港は4割超が鉄道やバスを利用
■ロンドン・シティ空港
市内中心部に最も近い、ドックランド地区にある空港がロンドン・シティ空港だ。同空港へは、無人運転の新交通システム、ドックランド・ライトレイル(DLR)がターミナル内へ直接乗り入れている。空港そのものが非常に小さく、小型機の発着しかできないが、ヨーロッパ大陸側の都市へ多くの路線が飛んでいる。ヨーロッパ金融市場の中枢とも言えるバンクから乗り換えなしで行けるため、ビジネスマンの利用が多い。
この空港と都心部とのアクセスは、DLR一択のみで、競合する他交通機関はない。ただ、市内側のバンク駅の立地に関しては、周辺の住人やオフィスへ勤める人以外、ターミナル駅に接続をしているわけでもなく、決して良いとは言えない。都心で働くビジネスマンや、DLR沿線に住む住人など、あくまで限られた人をターゲットにしていると言えるだろう。
■ルートン空港
ロンドン都心部からは最も郊外に位置するルートン空港は、他の空港と大きく異なる点がある。それは、自家用車やタクシーのシェアが一番高い点だ。鉄道のアクセスは、セントパンクラス駅からテムズリンクで約30分程度の距離だが、最寄りのルートン・エアポートパークウェイ駅から、シャトルバスに乗車しなければならない。たかが5分程度とは言え、ターミナルに直結している他の空港との決定的な差がここにある。市内ヴィクトリア駅までの路線バスに対しても劣勢なのは否めない。
ルートン空港は、主にLCCが発着する小規模の典型的な地方空港だ。他の空港と比較して発着本数も利用客数も多いわけではなく、LCCならガトウィックやスタンステッドからも多くの便が発着している。他の地域からわざわざ積極的にこの空港を利用する理由はなく、周辺住民が車でアクセスするケースが多くなるのは自然な話だ。
空港鉄道に力を入れる英政府
イギリス政府は、空港アクセスにおける鉄道の位置付けを重要視しており、特に2大空港のヒースロー、ガトウィックは、近い将来には鉄道利用者のシェアが50%を超えることを予想している。前述のクロスレイルに加え、ロンドンブリッジ駅周辺立体交差化工事が2018年完成を目指して進められており、完成後はさらなる所要時間短縮と市内中心部への直接乗り入れが実現することになる。
リオでのオリンピック・パラリンピックも閉幕し、いよいよ次は2020年に東京での開催を迎えることになる。だが、特にインフラ整備についてはまだ不鮮明な部分も多い。東京は今後、オリンピック開催までに、これ以上の鉄道整備を行なうことは現実的に厳しいが、将来の少子高齢化に伴う需要先細りなども加味しつつ、適切な交通網整備が進められることを望む。
(写真はすべて筆者撮影)
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