自分の将来なんて考えるだけムダ 企業再生的キャリア観

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未来のことを全然考えないというのは、どこか余裕ぶっているようにも聞こえますが、でもキャリア形成とはそもそもそういうものではないかと、最近、気づきました。

たとえば今から5年前に私は、戦略コンサルタントをしていました。そのときに5年後の今、単身赴任で福島のバス会社で仕事をしている自分を想像できたかというと、まったくできませんでした。また、当時の自分が今の仕事をやりたかったかというと、別にそういうわけでもなかった気がします。

同じように、10年前を振り返って自分がITシステムの仕事をしていたときに、5年後の戦略コンサルの仕事、10年後の企業再生の仕事を想像したり、将来のキャリアに向けて準備を周到にしていたかというと、そういうわけでもありませんでした。

でも今の私は、企業再生という仕事にとても大きなやりがいを感じ、プライドを持ちながら向き合っています。

目標を持て。夢を持て。そのために計画を立てろ。日付を入れろ。よく言われます。

目標はころころ変えていい

一方で就職における人気業種は、ここ何十年の間に素材から機械、ハイテク、さらにサービス、金融へと大きく変遷してきました(もちろんつねに普遍的な上位企業はありますし、例外もありますが、大きなトレンドとして)。この変遷が示唆することは、キャリアの若い時期に特定の業種を目指していたとしても、その人が中高年になる頃にはその業種自体が陳腐化している可能性が高いということです。今は会社の寿命より個人の寿命のほうが長い時代です。

加えて、年を経るごとに人は成熟していきます。その過程の中でキャリアに対する自身の価値観も大きく変わることもあります。

すなわち中長期的に目標設定すること、そしてそれに向けて計画的に段取りしていく生き方。そういった一連の考え方が、必ずしも正しくないような気がします。自身のキャリアの途中で軌道修正することは、同時に自己否定を伴います。上で述べたような目標逆算的な生き方は、自分のやりたいことや世の中の要請が変わっているのに、これまで頑張ってきた内容を自己否定できない障害にもなりえます。

ではどうすればよいのかというと、まず目標は持つべきですが、迷ったら目標にこだわらないで柔軟になる。結果として目標をころころ変えても自分を責めない。これがまずひとつだと思います。要するにあまり長期で目的を持ちすぎると、その目標が陳腐化したときのリスクが高すぎます。

そのうえで、自分の社外的な価値を相対化できるような情報収集は怠らず、ここぞというチャンスには迷わず飛び込む(行動する)という姿勢が大事だと思います。ここで「行動する」のがとても大事で、目標にこだわらないで柔軟になるのも、「行動する」ことをスムーズに進ませるためでもあります。

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