エアバスも客寄せ、観光大国フランスの商魂 仏語オンリー脱却、英語や日本語も活用へ

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各都市に何日か滞在したとしても、見どころ・味どころが多くあり、次に隣の地域の町や村へ移動して滞在しても、また違った発見や体験ができるのである。

ミディ・ピレネー地方観光局のフィッリプ・ゲラン総裁(写真)は、「ヨーロッパ地域を除くと、ミディ・ピレネーに来る日本人観光客はアメリカ、カナダに次いで多い。しかも、3年前から毎年2倍増ペースで増えている」という。

トゥールーズではエアバス工場も“観光名所”

日本人の目当ては、この地域最大の都市トゥールーズ(オート・ガロンヌ県)。「日本人客の宿泊の55%がトゥールーズで、そこから周辺への小旅行を組み合わせる客も多い」(ゲラン総裁)。トゥールーズにはエアバスの本社があるため、工場見学などの需要が旺盛なのだという。

トゥールーズのサン・セルナン大聖堂(ユネスコ世界遺産)

アメリカに牛耳られていた航空機製造業界で、ヨーロッパ勢が巻き返すため、独仏の国家資本(のちに英国とスペインが加わる)が共同出資する形で設立されたエアバス。その本社がトゥールーズとなった理由は、以前から航空産業の集積地だったことや、空域制限が少ないためテスト飛行がしやすかったことから。冷戦期には、東欧から離れれば爆撃のリスクが小さくなることも念頭にあったようだ。

かつて青色染料のもととなるパステル(植物)の産地として一世を風靡したトゥールーズは、イギリスのインディゴ染料にパステルが席巻されて勢いを失っていた。が、エアバスの成長とともに復活し、経済成長率も高い。郊外はベッドタウンとして発展し、人口も増加している。

周辺部に行くほど“多様性”が楽しめる

トゥールーズは、パリ大学に次ぐトゥールーズ大学を持つ学園都市でもあり、若者の活気にあふれている。ミディ運河に加え、サンティアゴ・デ・コンポステーラの巡礼路(市内ではサン・セルナン大聖堂が対象)の2つがユネスコ世界遺産に登録されている。水路エレベーターで川を上る運河クルーズは多くの観光客に人気だ。

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