32歳高年収女子は「高飛車女」と判定された! 東京カレンダー「崖っぷち結婚相談所」<4>
ショックを受けながらも、杏子は辛うじて反論をした。胸はドクドクと音を立て、心拍数が上がっている。
「そのように受け取られるなら、担当者を変えても、訴えてもらっても結構です。ただ、僕はあなたを結婚に導くという仕事を全力でしているだけです。僕が担当から外れれば、あなたは一生独身である可能性が高くなるだけです」
直人のあまりに高圧的で自信溢れた物言いに、杏子は言葉が出なかった。無言を肯定の意味と受け取ったのか、直人は続けた。
「杏子さん、あなたは自分の市場価値を高く見積もり過ぎている。一言で言えば、痛い勘違い女、もしくはナルシストです。さらに、あなたは男性にかなり高飛車な態度を取られるようですね。勘違いと高飛車が合わさった女性は、どんなに美人でも魅力的ではありません」
「勘違い……、高飛車……? だって、直人さんだって、私の市場価値は高いって、言ったじゃないですか。それに高飛車って何ですか? 私、飯島さんとは楽しく会話しました。高飛車な態度なんて取っていません」
婚活アドバイザーの辛口&合理的な分析とは?
「確かに、杏子さんの市場価値は低くはない。まぁ、ランクで言えば、B+か、良くてA-くらいでしょう。しかし、飯島さんは文句なしにSランクです。これは年齢・職業・外見などを考慮に入れた一般的な意見と思って、きちんと受け止めてください。杏子さんが20代で、かつ性格に問題がなければSランクです」
杏子はさらにドクドクと音を立てる心臓の音を感じ、はらわたが煮えくり返る思いだった。しかし悔しいが、何故か言い返せない。
「あなたは高飛車の自覚がないんですね。では、杏子さん。飯島さんは、どのような女性がタイプで、どのようなご結婚を望んでいるか、ご存知ですか?」
「……それは聞いていません。早稲田卒で、番町にお住まいだとは聞きましたけど……」
「そうですよね、あなたは、表面的なスペックだけで飯島さんに上から目線で好感を持った。だから彼がどのような女性を求めているかなんて、全く考えもしないのです。飯島さんの話はほとんど聞かずに、自分の仕事や人生の自慢話ばかりされていたそうですね。コミュニケーションが、完全に一方通行だったんですよ」
杏子は、確かに飯島の学歴と住まい以外に、何の情報も得ていないことに今気が付いた。