日銀よ、市場の「恐喝」にビビったら負けだ 日米の金融政策決定会合を大胆に予測する

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自らの行動が引き金となって、市場が暴れることは避けたい。だから、前回のETF(上場投資信託)6兆円、のような意味不明の、そして経済にも金融市場にも本当はマイナスの、投機家に対する飴をぶら下げてくる可能性がある。

それが何かを予想しなければならない。手段がなさ過ぎて予想がつかないが、何もしないということはできないだろう。

シナリオ1は、短期金利をマイナス0.2%に0.1%引き下げ。後はテクニカルな微調整。追加緩和とバランスしたあるべき政策変更はできない。

シナリオ2は、短期金利をマイナス0.2%にし、長期金利を引き上げるために、国債の買い入れ年限の柔軟化。これなら緩和にプラスマイナスゼロ。だが、ここまで度胸があるか。

一番度胸があれば、何もしない、ということだが。

米国は利上げのみ。日本は「恐喝」にどう対処すべきか

以上、日米の金融決定会合について「逆張り的」に予想してみたが、最後に「理想的には日米の中央銀行はどうすべきか」、という提言を理論と実践の両面を考慮して行ってみたい。

まず、米国は単に利上げ実行。それに尽きる。

一方、日本は難しい。

動くに動けない。進むも地獄、引くも地獄。身動きが取れない。
それは自業自得で、金融緩和をやりすぎてしまったからだ。そうだとすると、金融緩和を縮小するのが正しく、追加緩和などもってのほかだが、資産市場の投資家、とりわけ、株式市場の投機家たち、あるいはこれに乗じる為替市場のトレーダーは、「パニッシュメント」という名の売り浴びせを行うだろう(株売り、円買い)。それが怖いから、動けない、ということだ。

投機家はニュースだけが必要だから、実体経済からは、異常な水準とも言える強力な金融緩和を継続する、という決定は、no newsつまり、なにもしない、ということになって、重病患者の家族のように中央銀行に縋(すが)りつくのであるが・・、いや、彼らは謙虚な家族と違って、何様のつもりか、「有能だが度胸のないセントラルバンカー」を脅すのであるが、それは、劇薬を処方し、「一回一錠一日三回、症状が特に悪ければ、寝る前に一錠追加してもよいが、何があっても一日六錠以上は飲んではいけません」という薬を、一日五錠処方しているようなものだ。

これでまだ効きが悪いから追加してくれ、と言われて、プラシーボ(いわゆる偽薬)を与えたり、複合副作用があるかもしれない、まったく別の薬を大量処方したりしているようなものだ。それがETF6兆円であるが、その他に、何か別の薬はないのか、というのが現在の議論だ。そろそろ「ほかに効く薬はない」、と多くの患者の家族はわかってきたが、家族の代理と称する、実は何の関係もないマフィアが言いがかりをつけてきている、というのが今の市場だ。

さて、恐喝にはどう対処すべきか。

そこまできたら、小細工は無用。どうなっても、正々堂々と渡り合うしかない。正論を通す。必要なら、弁護士、警察を呼ぶ。金融政策なら、理屈を通す、実体経済のためにすべてをささげ、投機家が騒ぐことは気にしない。マフィアが怒鳴ろうが叫ぼうが、「家族を誘拐する」と脅そうが、関係ない。投機家が、実体経済が壊れると市場の声として流そうが、実体経済のことは日銀の方が、少なくとも市場関係者よりはわかっている。

したがって、実践と理論は一致する。一切の配慮、市場への配慮、政治への配慮も排除して、限界に追い込まれたのであれば、実体経済だけを考えて政策を行えばよい。むしろ簡単だ。

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