一方、日本は、複雑だ。
日本は、「日銀は今回追加緩和見送り」という予想が大勢を占めているようだ。麻雀にたとえた議論もあるが、「いつも11月近辺だから、今回も」という議論、あるいは「政治的な日程へ配慮するはず」だとか、さらには「今回は総括するだけで、動きは次回に」、などといった予測が多い。
なぜ「日銀は動く」と予想するのか
私は、今回「総括だけして手ぶら」という訳にはいかない、と市場にビビっている日銀は考えると予想し、何らかの動きはしてくると予想する。
米国は、利上げも利上げ見送りも、どちらの論理も単純明快、どちらを判断するか、ということだけだ。一方、日本は、論理自体がはっきりしない。その根底には、日本においては、緩和を継続するべきか、拡大するべきか、ということについての理論的根拠がそもそも存在しないことにある。
日銀は、なぜ大規模な金融緩和をしているのか。
謎である。あるいは、理由はないが、することになっているからしている、ということか。
実体経済は強いわけではないが、労働市場はほぼ完全雇用、景気減速という訳でもない。唯一の問題は、物価が上昇していないことだ。
ここは意見が分かれるところだが、物価が上昇しなくて何が悪い、実体経済からの理由で金融政策を引き締める必要がない(資産市場からは引き締めるべきという理由はあり得る)だけで、それはむしろプラスではないか。
2%の物価上昇率を何としても達成しなくてはいけない、という目標が間違いであるだけで、日本経済は何の問題もない(景気対策のために金融政策をする上では)し、金融政策も問題はない(個人的には違う意見だが)。だから、ここで何も金融政策を変更する理由はない。
総括するとすれば、従来でいえば、物価が上がるはずなのに、物価だけが上がらない。それはなぜだろう。それを考えれば良いだけなので、ああ、金融政策は順調、ただ物価だけが上がらないが、それはまあ気長にやるとしよう、ということになるのが自然だ。
ただ、さすがにもうちょっと真面目な言い方をしないと日銀としては「持たない」ので、「2年という目標は達成できなかったが、日本経済は順調に回復した。物価が上昇しないのは、経済の構造変化、外的環境などがあり、また日本社会のマインドが慣習化したからであり、金融政策としては、外的環境が変化するのを待ち、マインドの慣習化に対しては粘り強く戦っていく、だから2年という期限は撤廃するが引き続き、現在の金融緩和を続ける」ということになる。
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