黒田日銀総裁の大ギャンブル 脱出が困難な大規模国債購入策

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こうした言い方になっているのは、米自動車産業の利益を代弁するデトロイトの議員たちが最近の円相場にピリピリしていることも背景にあるだろう。また、同報告書は、意外にも、日本に対するなかなか本質的な指摘もある。

構造改革にとって代わることはできない

「力強い経済回復を支え、潜在成長力を引き上げるため、過度に国内の競争を抑制してきた規制を緩和し、国内経済のダイナミズムを高めるように、基礎的で一貫した対策をとっていくことが日本には重要である。(金融緩和策などによる)マクロ経済への刺激策は、短期的には経済を支えるが、生産性や潜在成長力を高めるための構造改革にとって代わることはできない」。

 日本の大都市圏では高額商品の販売が活発化していると言われている。しかし、地方で中低所得層が多い地域では、「これからインフレが来るなら、生活コストを切り詰めなければならない」という警戒が強くなっているという声も聞かれる。株を買えるほどの金融資産はなく、自分の賃金が今後増えるというイメージを持てない人は、むしろ防衛的なスタンスに傾いている可能性がある。

今回の日銀の金融政策を多くの国民の”幸福”に結び付けていくには、日本経済の潜在成長力を高めるための戦略を打っていくことが何より重要である。

加藤 出 東短リサーチ社長

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かとう いずる / Izuru Kato

1988年、横浜国立大学経済学部卒業、東京短資入社。金融先物、CD、CP、コールなど短期市場のブローカーとエコノミストを2001年まで兼務。02年2月よりチーフエコノミスト。13年2月より東短リサーチ代表取締役社長。短期金融市場の現場から各国の金融政策を分析。『日銀は死んだのか?』『バーナンキのFRB』『日銀、「出口」なし! 異次元緩和の次に来る危機』  など著作多数

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