円を売って、ユーロを買う選択肢は「あり」 キプロス問題をきっかけに、改めて欧州の将来を考える

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藤野 こうした犠牲を生んだ過去の対立を乗り越える必要がある。そのためにも、国境を越えて何らかの統合を目指すべき。そんなところにユーロがあるんだと思います。だから、これは極めて理想主義的な考え方ではないでしょうか。

中野 ちょっと昔話を。

渋澤 どうぞ。

中野 まだユーロが誕生する前、私は「ユーロなんて、できるわけないじゃん」と思っていたわけですよ。そんな話を当時、ドイツの銀行にいた友人に話したら、こう言うんです。あ、ちなみにその友人はドイツ人ね。で、何と言ったのかというと、「ユーロは絶対に統一される。それは欧州人の米国覇権に対するプライドなんだ」。

実際、ドイツは当時、世界最強通貨と言われたマルクを捨てて、ユーロ統合に参加したわけですよね。ユーロという通貨は、寄合所帯のようなものだから、そこには経済的にドイツよりも弱い国が入っているわけです。つまりドイツにとってユーロに参加するということは、わざわざ自国通貨を弱体化させるようなものですが、それでも彼らはユーロに参加した。その心意気を考えると、たとえ理想主義と言われようとも、ユーロ大共和国への道を着実に歩んでいくのではないか、というのが私の見方です。

渋澤  う~ん、どうかなあ。中野さんが言う「ユーロ大共和国」というのは、おそらく財政の統合も含めての考え方だよね。

中野 ユーロ共同債の発行は、その第一歩だと考えています。

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