円を売って、ユーロを買う選択肢は「あり」 キプロス問題をきっかけに、改めて欧州の将来を考える

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ユーロのごたごたは、日本の財政問題よりまだマシ

藤野 キプロス問題について言えば、同じ問題を抱えている国は、ほかにもあります。ルクセンブルグやバチカン市国といった小国は、国としてのガバナンス自体がうまく機能していない懸念がある。おそらく、この手の小国でのゴタゴタは、今後も続くんだと思います。最終的には政治統合を果たすまで、この手の問題はつねに浮上して、ユーロを攪乱するリスクがあります。ただ、そうはいっても、ユーロに対する強い理想はあるので、問題が浮上しては、何となく収束するということを繰り返すのでしょう。確か、中野さんのところで運用しているファンドは、ユーロの投資比率を高めていましたよね。

中野 私自身、ユーロについてはポジティブな見方をしていますから、ユーロ危機以降、「セゾン資産形成ファンド」で、ユーロへの投資比率を高めてきました。それが今のパフォーマンスにつながっています。

藤野 確かに、中野さんの場合は言行一致ですね(笑)。私は、ユーロという通貨に対する興味はないのですが、企業ベースで見ると、魅力的な会社はたくさんある。たとえばイタリアを見ると、ファミリー経営の下、しっかりしたガバナンスを維持して、かつブランドバリューの高い会社がいくつもあります。この手の企業は投資価値があると考えていますが、実際に自分がユーロに投資するファンドを立ち上げて運用するかと言われると、それはない。なぜなら、日本企業に比べると「よくわからない」部分があるから。また日本企業に投資する場合も、ユーロ経済圏でのゴタゴタはまだ続くとすると、やはりユーロ経済圏の売上比率が高い企業への投資は避けたいところです。

渋澤 投資対象として見た場合か……。ユーロ、いいんじゃない。

中野藤野 え~っ? あれだけ、「ユーロはダメ」みたいな言い方をしておいて(笑)。

渋澤 いや、確かにユーロはゴタゴタがまだ続きそうだけどさ、日本の財政問題などに比べれば、まだマシでしょ。だから、円を売ってユーロを買うという選択肢はありだと思います。

中野藤野 なるほど~。

草食投資隊 渋澤 健、中野晴啓、藤野英人

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そうしょくとうしたい

コモンズ投信会長・渋澤 健、セゾン投信社長・中野晴啓、レオス・キャピタルワークス社長CIOの藤野英人の3氏で結成。根底には、「長期投資を根づかせたい」という3人の熱い思いがある。「草食投資隊」という名前は、投資=肉食系というイメージが一見つきまとうが、本質は違うのではないか、という3人の共通の考えによる。

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